メディアに姿を見せなくなった理由

 7月には、チズさんのメッセージブック『夢は薬 諦めは毒』が出版されるとアナウンスされたばかりだった。本の担当編集者は声を落とす。

「亡くなられた実感がないというのが素直な気持ちです。“佐伯式美肌メソッドをこれからもずっと伝え続けて、きれいな女性たちが世界中であふれてほしい”ということをよくお話しされていました。“女性がきれいでいると家庭が幸せになって、戦争だってなくなるのよ”って……」

チズさん最後の著書となった『夢は薬 諦めは毒』(宝島社)。チズさんが遺言として残した言葉が収録
【写真】女性向けサイトで「お肌の寄り添い人」を称する水井真理子氏

 チズさんが生涯を捧げた佐伯式美肌メソッド。それが「ある人物の裏切りで、めちゃくちゃにされた」と自ら告白したのは、亡くなる3年前──’17年のことだった。長年、チズさんの“右腕”としてマネージャーを務めていた女性スタッフに「会社を乗っ取られかけた」というのだ。

「あれだけテレビや雑誌で引っ張りだこだったチズさんが、’14年ごろから、ぱったりと姿を見せなくなったんです。というのも、その女性スタッフが“佐伯は引退”“体調が悪く仕事ができない”と、いろんな所で勝手に吹聴してオファーを断っていたからだそうで。“これからは佐伯の代わりに私が”と仕事も受けていたそう」(女性誌編集者)

 そんなこととは露ほどにも思わないチズさんは、彼女を会社の役員に抜擢。経営も任せるようになっていった。

資金が尽きた師に「自己破産すれば」

「その女性スタッフが、’15年ごろから“運営資金が足りない”“会社が倒産する”と、頻繁にチズさんにお金の工面を頼むように。会社をつぶしたくない一心で、言われるがまま、チズさんは個人的に2億円もの大金を立て替えたのですが、それでも“足りない”と。チズさんが“もうお金はない”と言うと、女性スタッフは“自己破産すればいい”と吐き捨てたそうです」(同・女性誌編集者)

 恩人への背信行為はこれだけでは終わらなかった。

 結局、チズさんの会社は経営に行き詰まり、東京・銀座にあったビルからの撤退をはじめ、事業を大幅に縮小、清算せざるをえなくなる。

 すると、女性スタッフが招き入れた男性役員のA氏が、登録商標やチズさんブランドの美容商品、大切な顧客名簿までもチズさんに無断で持ち去ってしまったというのだ。

 それらの商品は、今もA氏が代表を務める別の美容関連会社で販売され続けている。その会社に電話をかけ続けたが、「本日の業務は終了しました」というアナウンスが流れるばかり。ならばと、自宅マンションを訪ねるも、妻とおぼしき女性が「Aはここには不在にしていますので。どこにいるかは私も知りません」と、取りつく島もない。

「結局、チズさんの2億円も何に使われたのかはわからないまま。返されることもなかったそうです。これらはチズさん側の言い分でしかないですし、当時、会社の経営が行き詰まっていたのは事実。だから、女性スタッフのほうにも言いたいことはあるでしょうけれど……」(前出・美容業界関係者)