さらに装着すると運動量が増すことから加齢による筋肉量の低下を防いだり、生活習慣病の予防にもなるのでは、と期待する。長時間歩いても疲れにくく、特に坂道も楽々上れるようサポートする。

 その構造は下半身をすべて覆って固定する『外骨格型』という仕様ではなく、股関節、ひざ関節といった下肢の4つの関節に当たる部分にモーターをベルトで装着。『非骨格型』というスタイル。

アシストモーションの橋本稔代表取締役。30年近くロボット研究に携わってきた
【写真】会話をしてくれる柴犬の人形『コウタ』がかわいい

 利用者は、まず本体をリュックサックのように背負う。次にベルトで脚に固定していく。歩幅、歩く速度などはアプリを通して指示を出す。最大の特徴は「同調制御機能」だ。これはモーターの部分に搭載したセンサーが人間の動きを検知することで。適切な歩行を提案、装着者の動きに合わせてアシストしてくれる。

「つけて歩くことで足が上がるので1歩がなかなか踏み出せない人や段差でつまずきがちな方もサポートしてくれます。ひざ、股関節のモーターは座ったり立ったり、階段の昇降の負担も軽減されます」

 災害時には避難先への素早い移動や停電してエレベーターが使えないマンションでの階段の上り下りもサポートしてくれることを想定する。

 前出の太田デイトレセンターで作業療法士をしている小島知美さんは、「curara(R)を使って歩行訓練を行う利用者さんは表情に笑顔が戻ったり、足が上がるようになった方もいます。リハビリのモチベーションにもつながっているようです」と明かす。

 curara(R)を使いリハビリをする岡田勝司さん(61)。脳梗塞で左半身にまひが残るうえに、昨年は転倒し、大腿骨を骨折。歩くことがより困難になったという。しかし、

「車椅子生活になると思っていましたがcurara(R)でリハビリを続けたら家の中を杖で生活できるくらい回復しました。動きにくい左半身をサポートしてくれるので足がスーッと出るようになりました」

 同じく脳梗塞で左半身がまひした岡泉絹代さん(74)も、curara(R)に支えられた1人。

「歩く後ろ姿がきれいになったって言われます。以前は家にこもりがちでしたが、今は庭の手入れをしたり、気持ちも明るくなってきました」

 前出の太田デイトレセンターの坂本育美副所長は、

「curara(R)を装着して近くの公道を歩いたり、ショッピングセンターで買い物をするなどのリハビリも重ねたい。利用者さんが日常生活でも使えるように試していきたい」

 だが、課題も残る。

 今後は橋本さんが長年研究してきた人工筋肉などの素材を関節部分に使用する研究も進む。収縮性をもつ人工筋肉をモーターの代わりにすることで本体の軽量化を目指す。再び自分の足で歩ける未来はすぐ近くに見えてきた。