とにかく飛び込んでみる

 文化的なことだけではなく、運動だっていくつになっても始めていい。日本最高齢フィットネスインストラクターの「タキミカ」こと瀧島未香さん(90)がスポーツジムに通いだしたのは65歳のとき。それまでしたことがなかった運動が「楽しい!」という気持ちに気づき、87歳でフィットネス・インストラクターに。“筋肉ばあば”を名乗りつつ、現在も実際にレッスンを受け持っている。

 ご年配にはちょっとなじみの薄い「ラップ」や「DJ」にもパイオニアはいる。坂上弘さん(100)は84歳でアルバム『千の風になる前に』でラッパーとしてメジャーデビュー。現在は引退を表明しているが、100歳を超えてなおお達者ぶりをSNSでうかがうことができる。

 故・塩沢ときさんもびっくりのサングラス姿がトレードマークのDJ SUMIROCKさん(86)は、高田馬場の中華料理店「餃子荘ムロ」の女将をする傍ら、77歳でDJスクールに入学し、アジア最高齢DJとしてデビューを果たした。現在はコロナ禍でイベントの出演を控えているが、それまでは国内外のイベントに引っ張りだこだったという。

DJSUMIROCKさん(Instagramより)

 そう、新しいものは若者だけのものではない。ミゾイキクコさん(87)は、SNSサイト「Twitter」を76歳のときに始めた。身の回りのことから社会のことまで、率直に問題を投げかけ、人々と対話をしていく姿勢が人気になり、現在のフォロワー数はなんと8・9万人(2021年8月15日現在)。「若い人のもの」だと思われたソーシャルメディアでも、実は何歳になっても活躍できるというよい例だ。

ミゾイキクコさん

好きで継続が心身の「若さ」

 では、新しいことを始めることは、人間にどのような影響を及ぼすのだろうか?抗老化医療の研究者(医学博士)であり、順天堂大学医学部非常勤講師・美容外科医の末武信宏先生に話を聞いた。

「脳の老化や認知症といったものはコミュニケーションの低下によって起こることがわかっています。60歳~65歳で定年を迎えると、余暇が増えるけれど人と接する機会も少なくなるため、物忘れや気力の低下につながるのです。新しいことを始めると、人とのコミュニケーションも増え脳が活性化するため、心身が元気になります」(末武先生)

 また、話す・食べる・大きく呼吸をするなど「口を大きく動かす」ことで脳神経は大きく活性化するという。新しいことを始めることは、健康で長生きすることにもつながる。では、どういったことを始めるのがいいのだろうか?

「自分が“好きで継続できること”をやりましょう。人に誘われたからだとかで、無理して興味のないことをする必要はありません。好きなことをやると副交感神経機能が高まり、リラックスすることもできます。『才能の開花』はいくつでもありえます。肉体的な限界はあるかもしれませんが、とりわけ文化的なことに年齢は関係ないと言えるでしょう」(末武先生)

 そう、我慢をせずに、好きなことをやっていいんです!いくつになっても新しいものを恐れずに飛び込んでいくことで、新しい自分に出会える可能性が広がる。

 さあ、これを読んだあなたも、年齢を言い訳にするのは今日で終わりにして、新しい世界に飛び込んでみては?

〈取材・文/高松孟晋〉