通ったあとには高級ブランドの残り香が

 政治家を引退してからも物議を醸す発言は収まらず、「暴走老人」と自嘲するように話し、態度を改めることはなかった。

 在職中から女性や外国人を差別しているととられても仕方のない発言を繰り返し、世論を敵にしそうになると、都合のいいところだけ切り取った報道だとメディア攻撃も。小池百合子都知事に対して“大年増の厚化粧”と言い放ち、対立候補を応援する選挙戦でむしろ逆効果になった。

 おそらく、敵に回して反発されなかったケースがひとつだけある。

「カラスです。もともとゴルフ場でアイアンを投げつけたら頭をつつかれてカラスが嫌いになったそう。2001年に都内のカラス撲滅を宣言し、プロジェクトチームまでつくって撲滅作戦を遂行した。石原さんは“東京名物としてカラスの肉のパイを作ろうと思う”と話したが、カラスは利口でなかなか捕獲できなかった。しかし、徐々に成果を上げ3年後には約3割減らすことができた」(当時の都政担当記者)

 カラス肉のパイ販売は実現しなかったが、石原さんとカラスが対峙するイラストがパッケージに描かれた東京限定サブレ『カラスの勝手はダメ!ダメ!』を都庁内の売店で販売した。人間を襲ったり、ごみ集積場を荒らすカラスの天敵でもあった。