その使い道は、主に選手の育成だという。

「スケート連盟はリンクの運営はしていませんが、費用を負担したうえで一般企業が運営するスケートリンクを貸し切り、強化選手のために練習の機会を設けているのです。放映料などによる収入が増えたことによって、日本の多くのリンクでこういったことができるようになりました」(梅田さん)

 “フィギュアの顔”ともいえるスター選手が不在になると……。

「もしも羽生選手が競技を引退する場合、テレビの放映料などが今ほど入ってこない可能性はあります」(梅田さん)

“ポスト羽生”の期待がかかる選手

 では、羽生ほどの存在になりうるような選手はいるのだろうか。

「『世界選手権』に出場する三浦選手は羽生選手を尊敬していて、食事に関するアドバイスも受けたことからファンからも“弟分”のように見られています。また、『四大陸選手権』で世界のスケートファンにその存在を知らしめた三宅選手は王子様のようなルックスでも知られています。ただ、羽生選手はその圧倒的な人気を10年以上揺るぎないものにしていますから、ここまでの選手はなかなか現れないのではないでしょうか」(フィギュアスケートファンの女性)

 前出の佐野さんも続ける。

「羽生選手の今までの実績は“超一流”にさらに“超”がつくくらい。“100年に1人”と言えるほどの選手なのは間違いありません。また、俳優やアーティストと違って、羽生選手のように世界規模でファンがいるスポーツ選手はなかなかいません。この先“羽生の再来”と言われる選手が出てくるのは限りなく不可能に近いと思います。私たちは、羽生選手と同じ時代を生きていることをラッキーだと思っていたほうがいいくらいでしょうね」

 羽生の次を担う存在がいなければ、やはりスケート連盟の収入減の可能性は否めない。それにより、さらなる次世代へも影響し、先細りの危機が。

「スケート連盟の費用負担によるリンクの貸し切り練習の機会が減ることが考えられます。すると、選手が自費でリンクを借りたり、練習場所を求めて海外に行ったりする必要が出てきて、経済的に余裕のある家庭以外はスケートを続けることが難しくなってしまう。結果、限られた選手しか育たなくなり、世界で活躍する“第二、第三の羽生選手”も出てきづらくなりますよね」(梅田さん、以下同)