カギとなるのは自分らしくいられる場所“第三の居場所”をつくること。女性の場合は子どもがいるならママ友、犬を飼っているなら犬友などもいいですね

 第三の居場所とは居心地がいい、役に立っているという感情を持てる人間関係のこと。

「他人が喜んでいる顔を見て喜ぶのは人間だけ。嫌いな人に無理に会う必要はありませんが、人や地域の役に立つことは生きがいにもなります」

 1日30分ほどの有酸素運動もおすすめ。血流がよくなり生活習慣病の予防に役立つ。

「私は昔から剣道をやっているのですが、コロナ禍の今は自宅で素振りをしています」

 近年の研究で良質な睡眠にはアミロイドβなど脳中で悪さをする物質を取り除く役割があることがわかった。日中は積極的に身体を動かし、睡眠は1日7時間を目指そう。

常にポジティブに!

 現在80歳の杉本さんが認知症予防のために心がけていることを教えてもらった。

「私が実践しているのは規則正しい生活。朝は5時に起きて読書をし、午前中は勉強、よく歩くと認知症になりにくいので、午後は2時間散歩をする。食事はバランスよく、量は控えめに。肥満はよくないので日ごろから体重維持に気をつけていますね」

 特に女性の場合、肥満だと認知症のリスクが高まる。食べすぎたり、偏った食事は避け、ポリフェノールや青魚、大豆食品、「ノビレチン」を含むみかんやシークワーサーを積極的にとろう。

「生きがいを持つことは欠かせません。私は今も認知症の根本治療のため、アミロイドβの産生を阻害する薬の開発を目指しています。世界中でも研究は進んでいますので、たとえ認知症になっても諦めないで。ポジティブでいれば脳細胞も活発に働きます」