目次
Page 1
ー 情報を開示請求しても「すでに消えている」可能性も
Page 2
ー どんな言葉が誹謗中傷にあたるのか
Page 3
ー 「ねえねえ。いつ死ぬの?」

《侮辱してる輩、10月から開示請求が簡単になったの知らないの?》
《開示請求のハードルが下がったとのことで、無駄に攻撃的になるのは気をつける》

 10月1日より、インターネットに悪質な投稿をした人の身元の開示手続きを簡略化する『改正プロバイダ責任制限法』が施行された。SNSでは今、改正について、また誹謗中傷を咎める投稿が散見される。何がどう変わった?

情報を開示請求しても「すでに消えている」可能性も

「インターネットに誹謗中傷などの書き込みをされたときに、これまでは犯人を特定するためには裁判手続きを2回する必要がありました。1回目の手続きが“発信者情報開示請求の仮処分”。これはコンテンツプロバイダに対してのものです。例えば悪質な書き込みがツイッターでなされたとして、ツイッターに対して“犯人の情報を教えてほしい”ということを裁判するのが第1段階でした」

 そう話すのは、『ベリーベスト法律事務所』にて「削除請求専門チーム」に所属する井川智允弁護士。第1段階の手続きによって、どういった回線(ネット回線業者等)を使い書き込みがなされたかがわかる(この時点では氏名等の個人情報は特定できない)。

「2段階目が、“発信者情報開示請求の訴訟。これを経由プロバイダに対して行います。1段階目でネット回線業者等の経由プロバイダがわかったので、そこに氏名や住所等の“発信者に関する契約者情報”を請求する手続きが必要でした」(井川弁護士、以下同)

 従来の裁判手続きは2段階という点以外の問題点も。

「2段階目の経由プロバイダが、書き込んだ人の情報を永遠に保存しているならばいいのですが、だいたい情報を保存している期間が3か月から6か月くらい。つまり投稿から3か月たってしまったら、開示してもらいたくても、その情報がすでに消えていてないという状況がありました」