どんな言葉が誹謗中傷にあたるのか

 今回の改正でどう変わったのか。

「簡単に表現しますと、これまで1段階目の裁判に勝ってから、ようやく2段階目の裁判に進んでいたものが、1回の手続きでできるようになりました。また、1段階目でネット回線業者などの経由プロバイダに“情報を保存しておくように”と言えるようになり、誹謗中傷をした人の情報が消えることを防ぎ、訴えやすくなったといえます」

 ネット上では冒頭のように“開示請求のハードルが下がった”という声もある。この点は、“これからは大した表現じゃなくても誹謗中傷と取られやすくなったからヤバい”と考えている人も少なくない。

「どういうときに名誉毀損や侮辱が成立するかという“基準”は変わっていません」

 誹謗中傷の書き込みは、『侮辱罪』や『名誉毀損罪』などに問われることが多い。具体的に“どんな”言葉や表現が誹謗中傷と捉えられるのか。

「“バカ”“ブス”“ウザい”“死ね”“殺したい”などといった暴言の類いは『侮辱罪』が適用される可能性があります。ただ、具体的に“どの”言葉が該当するということではなく、あくまで“総合的な判断”であると考えていただければと思います。

 私自身は“死ね”という言葉は通常問題があると考えていますが、ただ1つの単語がアウトかセーフかということは一概には言えず、繰り返し投稿が行われたなどの執拗性があったのか、それまでのやりとり、掲示板であればどのような趣旨の掲示板なのかなど総合的に考慮されます」

 事実、“死ねばいい”と書き込まれ、開示請求を行ったが、敗訴した例が。『100日後に死ぬワニ』で一躍有名になった漫画家のきくちゆうき氏だ。最終回直後にさまざまなメディアミックスが発表され、“金儲け”と一部で炎上。結果「きくちゆうきも一緒に死ねばいいのに」という投稿がツイッターでなされた。しかし、請求は以下のような判決で棄却された。