日常生活で気をつけていることは?

「身体は積極的に動かしています。私の最終目標は、“最期の日まで自分の足で歩いてお手洗いに行くこと”だから」

 克基さんと一緒に日本舞踊の稽古をしたり、ボイストレーニングやジムにも通っている。朝起きたらベッドの上で5分ほどのストレッチも日課だそう。

ジムには今年から通い始めた(仁科亜季子Instagram「nishina.akiko_official」より)
ジムには今年から通い始めた(仁科亜季子Instagram「nishina.akiko_official」より)
【写真】芸能活動のかたわらで筋トレ、自分のために身体を鍛える仁科亜季子

「美容情報は娘から。おすすめのコスメなどがあれば、積極的に試しています」

 食事面は病院で処方されたビタミンサプリを取り入れ、タンパク質補充のためにプロテインを飲むようにしている。それ以外は特別なことはなし。

「夕食は近くに住む娘家族とすることが多くて、孫の好きなハンバーグなどもよく食べますよ」

 いたって自然体だ。

「お腹には傷痕もあるし後遺症や再発の恐怖もあるけど、くよくよしても仕方がない。“2時間前は過去”って思って、今を楽しんでいます」

 自らのがん体験を振り返って思うことは、「がん患者としては幸せだった」ということ。いずれも手遅れになる前に発見でき、いい病院と先生に巡り合え、生きながらえることができたからと話す。

「みなさんも検診はぜひ受けてほしいです。身体に不調があるなら、病院へ行って専門家の意見を得るべき。それで生活の質が改善するんだから、放っておいては損です。特に主婦の方は検診に行きそびれることが多いので、気をつけてほしいですね」

 芸能活動のかたわら、がん体験者として講演などに精を出す日々を送っている仁科さん。その強さや美しさは多くの人にとって励ましになるに違いない。

仁科亜季子さん(撮影/齋藤周造)
仁科亜季子さん(撮影/齋藤周造)
仁科亜季子(にしな・あきこ)●1953年生まれ、東京都出身。NHK『白鳥の歌なんか聞こえない』で女優デビュー。清純派女優として注目され多方面で活躍した。現在は芸能活動のほか、がん予防の啓発活動を精力的に行っている。

(取材・文/樫野早苗)