目次
Page 1
ー 現在、車いす生活でも「視野は広がった」
Page 2
ー 弱くても、傷つきやすくてもいい
Page 3
ー 「トラジャ担」たちと世代や環境を超え交流

「人が頑張ってるからって頑張るなよ。人にはそれぞれの頑張りどきがある。きみの頑張りどきに頑張れ

「自分は絶対大丈夫だ、という自信をもって常にそのことを自分に言い聞かせる。何が大丈夫なのか。大丈夫という根拠は何か。そんなことはお構いなしに絶対大丈夫だとただ思うのだ。自分は駄目だと思う人に比べたら絶対いいはずだ

 優しく、時に力強く、心に響く言葉をSNSで発信し続ける直木賞作家の志茂田景樹。83歳でツイッターを使いこなし、フォロワーは若者から高齢者まで40万人超。80歳を過ぎてジャニーズのアイドルグループ『Travis Japan』“推し”となり、SNSを通じてファンと交流する様子も話題だ。

現在、車いす生活でも「視野は広がった」

 カラフルで奇抜なヘアスタイルとファッションで、'90年代はバラエティー番組でも活躍した。現在は、関節リウマチやケガの影響で「要介護4」の車いす生活に。外出はほとんどせず、自宅で執筆活動を続けている。

「行動的な世界は狭くなったけど、僕の視野は何倍にも広がったと思っているよ」と志茂田。SNSに対する思いや、今の生活について、オンラインで取材に応じてくれた。

「朝目覚めるとすぐ、頭に浮かんだ言葉をベッドの中でスマホに音声入力して保存します。スマホの音声入力は、誤変換も少なくてなかなか便利な機能ですよ。起き上がったあとに、保存した言葉を改めて調整してからツイッターにアップしています」(志茂田、以下同)

 朝は早くに目覚めるが、ベッド上で朝食をとり、起き上がるのは9時ごろ。一日を自宅で過ごし、外出するのは2~3か月に1度の通院と、3か月に1度、バリアフリー対応の美容院に通うときくらいだという。

「健康なときは毎晩お酒を飲んだりして、時間を費やしてしまったなぁ、とちょっと反省の気持ち。今は妻からの介護に加えて介護支援も受けていますが、毎日の執筆活動と、SNSの発信は欠かしたことがありません。

 いろんな人に僕の言葉を伝えたいという強い思いと気力があるので、それが支えになっています」