喉裏を意識して10秒うがい

 うがいには、口の中に入ってきたウイルスを洗い流す効果が期待できる。伊藤先生は毎日2~3回、水か出がらしで淹れたお茶でうがいをしている。

「すでにウイルスによる炎症が強く出て喉が腫れているようなときは、抗炎症剤が入ったうがい液を使います。でも『ん?なんか喉の調子がおかしいぞ』といった程度のときは、徹底的にお茶うがいをすると私の場合、早く治るように感じます」

 ウイルスが付着した喉の粘膜は徐々に炎症を起こす。そこにほかの雑菌類が付着すると、さらに悪化するので早めの対策が肝心。

「炎症が起きてからヨード液などのうがい液を使うと、粘膜まで傷つけ、正常な細菌叢(さいきんそう)も壊してしまうといった研究結果もあります。初期の段階でお茶うがいを繰り返しておけば、安全にウイルスを洗い流すことができますよ」

 ペットボトルのお茶にもカテキンはしっかり含まれる。商品ごとのカテキン量が書かれているサイトもあるので、気になる場合は、一度調べてみるのもいい。

「病院ではカテキンが多いペットボトルの緑茶を毎日500mlは飲んでいるので、これをうがいに使うことも。でも緑茶ではなく、紅茶などでやってもいいんです」

『日本食品標準成分表』によると、カテキンの含有量は煎茶、抹茶、玉露、紅茶に比べると、ほうじ茶やウーロン茶、玄米茶などは少なくなるが、「どんなお茶であってもやらないよりは絶対いい」と伊藤先生は話す。

使うのはどんなお茶でもOK出典:日本食品標準成分表(2020)
使うのはどんなお茶でもOK出典:日本食品標準成分表(2020)
【グラフ】どんなお茶でもOK!お茶のタンニン含有量がわかるグラフ

 だが、大麦などを焙煎して作られる麦茶は原料が緑茶などと異なるので、感染予防効果はわかっておらず、すすめていないという。

 伊藤先生が実践する方法は2ステップ。お茶を口に含んで強めにブクブクとし、まず口の中のウイルスや雑菌、食べ物のカスなどを吐き出す。

 これを2度ほどしたあとに、お茶を含んでから顔を上に向け、10〜20秒、喉の奥や口蓋垂(こうがいすい)の裏までお茶が当たるようにうがいを数回。

「口中にとどめず、この口蓋垂の裏までお茶を入れることがポイントです」

 カテキンは非常に酸化しやすい性質があるので、茶葉を保存するときは密閉容器に入れて冷暗所に。また、お茶を淹れたらすぐに飲んだり、うがいに使うといい。

「いつもの水分補給を水やコーヒー、スポーツドリンクからお茶にするだけでも感染予防が期待できますよ」

口蓋垂の裏まで! イラスト/ふるやますみ
口蓋垂の裏まで! イラスト/ふるやますみ

お茶うがいがいいワケ

●茶カテキンがウイルスの増殖を抑える

 ウイルスが細胞に侵入する際の経路を阻害したり、インフルエンザウイルスの複製を抑制する効果があるとされている。

●ポリフェノールで免疫力がアップ

 抗酸化作用もあるポリフェノールの一種であるカテキンには、「CD4+T細胞」や「ナチュラルキラー(NK)細胞」を活性化する作用が。