サッカードラマはドラマ界のトラウマに!?

 ただ一時期、サッカードラマが量産されたことがあった。Jリーグがスタートした'93年の秋クール、その盛り上がりに便乗しようと『もうひとつのJリーグ』(日本テレビ系)、『オレたちのオーレ!』(TBS系)、『青春オフサイド!女教師と熱血イレブン』(テレビ朝日系)の3作品が放送され、爆死したのだ。

大鶴やマルシアらが出演した『オレたちのオーレ!』は残念ながら打ち切りに
大鶴やマルシアらが出演した『オレたちのオーレ!』は残念ながら打ち切りに
【写真】主役級の俳優ばかり!映画化もした青春野球ドラマ

「あれがサッカードラマが作られないもうひとつの理由かもしれませんね。以来、サッカードラマ界のトラウマになってます(笑)。

 特に印象的だったのが『オレたちのオーレ!』。オレオレ浮かれていたあの時代の空気そのままのドラマで、大鶴義丹さんが主人公なんですけど元ブラジルのサッカー選手で陽気でいいかげんなナンパ男。修という名前から推測するに、当時、夜遊びがさかんに報じられていた武田修宏さんがモデルかと(笑)。

 そんな修をブラジルから追いかけてきた女性がいて、それを演じているのがマルシアさん。ふたりはこの共演をきっかけに結婚しますが、ドラマ自体の視聴率は撃沈。半年の放送予定が11話で打ち切りになっちゃいます。つまり、サッカードラマが残したものって大鶴義丹さんとマルシアさんの結婚しかない。しかも離婚してるし(笑)」

競技シーンでの説得力が不可欠

 それから約30年の月日がたち、久しぶりにドラマで本格的なサッカーシーンが描かれた。綾野剛主演の『オールドルーキー』('22年・TBS系)の冒頭シーンだ。綾野演じる元日本代表のサッカー選手が現役を引退し、スポーツマネジメント会社で奮闘するという物語で、サッカー以外にも野球、バスケ、スケボー、マラソンなど多種多様な競技が登場し、スポーツドラマの新たな切り口を提示した作品でもある。

「綾野さん演じる新町の代表ゴールシーンが回想で描かれるんですけど、チームメートとして大久保嘉人さん、坪井慶介さん、加地亮さん、那須大亮さんといった元日本代表が撮影に参加していて、本格的なサッカーシーンになっていました。ただゴールを喜ぶ選手たちの輪の中に明らかに元選手ではないぽっちゃりなエキストラさんがいて、一気に冷めた。いちばんリアルだったのは松木安太郎さんの解説だったという(笑)」