「OSKに所属していると、劇団員と一緒に過ごす時間がとても多いんです。そうすると人となりがわかってきて、だからこそ生まれる空気感、団結力があります。OSKの歴史を振り返ると、いろいろな壁にぶつかってきました。そんな中で守り抜いてきた劇団なので、雑草魂や生命力にあふれています。そういったものが舞台に表れているのがいちばんの特徴で、ほかにはない点なのかなと思います」

『ブギウギ』効果もあってか、翼が主演する舞台『へぼ侍~西南戦争物語~』のチケットは即完売。2月10日からは全国4か所で『翼和希コンサート』が開催される。

「4月に大阪松竹座などで上演する和物と洋物2本立ての『レビュー春のおどり』や、私のお芝居を見ていただくための入り口になればいいなと思います。朝ドラにあやかるスタイルで、ブギウギメドレーも見どころ。もちろん主題歌の『ハッピー☆ブギ』も。歌劇らしい場面もお届けします。YouTubeで好評だった『エル・クンバンチェロ』も披露しますよ」

「嫉妬などの感情は生まれにくい」

 OSKは宝塚とどんなところが違うのか。メディア研究家の衣輪晋一氏に聞いた。

「一番は規模感ですね。OSKは“少数精鋭”という感じです。宝塚は大規模な独自の劇場がありますが、OSKは、比較的小さい劇場で公演することが多い。だから劇団員を間近で見ることができて、ファンとの距離感が近いんです。ファンサービスも多いようで、“会いに行けるスター”といった身近な感覚になる点が魅力なんです」(衣輪氏、以下同)

連続テレビ小説『ブギウギ』。主演は趣里が務めている(NHK公式サイトより)
連続テレビ小説『ブギウギ』。主演は趣里が務めている(NHK公式サイトより)
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 劇団員との近さをより感じられるのは、OSKのテーマソング『桜咲く国』を歌う時。

「“桜パラソル”と呼ばれる傘を開閉したり回したりするパフォーマンスを見せます。OSK公式グッズとして“桜ミニパラソル”が販売中で、購入した方は『桜咲く国』で劇団員と一緒に傘を回すんです。この時は一体感がありますね。OSKならではの楽しみ方だと思います」

 距離感の近いファンサービスは魅力的だが、その舞台裏はというと……。

先輩との上下関係が厳しいという話は聞いたことがありません。人数が少ないこともあって、公演に出ている全員に見せ場があります。トップスター以外の演者にもソロパートがあり、主役を任されることも。嫉妬などの感情は生まれにくいでしょう

 知名度は低くても、歴史は宝塚に引けを取らない。アットホームで温かな空気感を楽しめるOSKに魅力を感じる人が多いのも頷ける。

衣輪晋一(きぬわ・しんいち)メディア研究家。書籍『見てしまった人の怖い話』『さすがといわせる東京選抜グルメ2014』、バラエティーやドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中