大切なのは家族の絆を守ること
誰しもが相続トラブルに巻き込まれる可能性はあり、重要なのは普段から意識しておくことのようだ。
「寄与分(相続人が被相続人の財産維持・増加に特別に貢献した場合の取り分)に関する相続トラブルを避けるためには、親(被相続人)と同居していた人はきょうだいが訪れてくれたときには車代や手土産を用意したり、別居していた人は同居していた人に対し日頃から介護などをねぎらい、感謝の気持ちを表すなども必要です」
と、清田さん。お互いの立場を思いやり、冷静に話し合う態度が大切。
「財産の多寡にかかわらず、家族の関係性や環境によって複雑化することもあります。大切なのは『うちは大丈夫』と過信せず、元気なうちから家族で相続について話し合う機会を持つことです」(古尾谷さん)
清田さんは相続でお金以外に失われがちなものについて警鐘を鳴らす。
「相続で最も悲しいのは、お金や財産を巡って家族の絆が切れてしまうことです。遺産分割でもめた結果、きょうだいが絶縁状態になったり、親族間で長年にわたって確執が続いたりするケースを数多く見てきました。財産は取り戻せても、失った関係性を修復するのは容易ではありません」
2025年は団塊世代が後期高齢者となることから「大相続時代」が到来。財産相続や「家じまい」にまつわる相談が増えるといわれている。税金対策や資産の売却など、早めの準備が大切だ。
話を伺ったのは……

古尾谷裕昭さん●ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士。相続税申告は年間3000件を超え、日本有数の相続専門税理士法人に。11.5万人以上の登録者数を持つ相続YouTubeチャンネル相続専門税理士チャンネル「ベンチャーサポート相続税理士法人」を運営。

清田幸佑さん●公認会計士・税理士。1997年に清田会計事務所として設立後、2009年にランドマーク税理士法人に組織変更。資産税コンサルティングをはじめ、相続税の申告件数は9500件超、税務相談件数は20万件以上と全国トップクラスの実績を誇る。15の本支店および相続の無料相談窓口も開設。