突然のがん再発 最新の治療法を決意
しかし、その矢先の2024年6月、検査で悪性リンパ腫の再発が判明する。
「2度目の抗がん剤治療は前回よりもキツいと言われていたんです。中でもいちばんつらかったのは、下剤も効かないほどのひどい便秘。お腹にコンクリートが詰まっているような感覚でとにかく気持ち悪かったですね」
やがて便秘が解消すると、経験したことのない腹痛に襲われる。今度は副作用で小腸に穴があいたのだ。
「それで2週間絶食。水も飴もダメで、空腹で気が変になりそうでしたね。だから、普通の食事がとれるようになってからは、そもそも食事制限がなかったので、うな重や焼き肉弁当など好きなものを食べましたよ(笑)。それでも体重は10キロ落ちました。入院前は身長のわりに体重があったから痩せたかったんだけど、食べるのが好きだからなかなか痩せなくて。もう太らないよう体重をキープしています」
悪性リンパ腫は今回の治療で寛解してもまた再発する可能性がある病気だ。
「先生が、再発を防ぐことが期待されている『CAR―T細胞療法』という治療法があると教えてくれて。血液からリンパ球を取り出してアメリカの施設に送り、パワーアップして僕の体内に戻すと言うんです」
落合さんが治療を受けていた病院では症例が12例あって、うち4人は亡くなり、残り8人は存命であることなども説明を受けた。
「当時、僕は76歳で年齢制限を超えていたんだけれど、先生が『落合さんは体力があるから大丈夫でしょう』と後押ししてくれて、やってみようと決心しました」
ただ、もうひとつネックがあった。アメリカへの輸送コストがかかることもあり、当初は1回の治療費が約3800万円と超高額だったこと。
「新車のランボルギーニが1台買えちゃうよね(笑)。金額には驚いたけど、幸いにも僕はがん保険の『先進医療特約』に入っていたんです。妻が保険会社に問い合わせたら、全額カバーされることがわかったんですよ」
さらに難治性と認められたため公的保険の適用となり、結果として高額療養費制度の助成も受けられたという。