すべて5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員で、令和6年は調査を開始した平成20年以降で最も多い搬送人員となった。令和6年は厳しい暑さが続き、6月と7月が過去2番目、9月が過去最多の搬送人員となった(総務省より)
すべて5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員で、令和6年は調査を開始した平成20年以降で最も多い搬送人員となった。令和6年は厳しい暑さが続き、6月と7月が過去2番目、9月が過去最多の搬送人員となった(総務省より)
【写真】熱中症の予防になるタンパク質が多く含まれる意外な食材

 タンパク質とともにとりたい栄養素が、ビタミンCとアミノ酸の一種であるタウリン

熱中症予防の最強メニュー

「果物や野菜に多く含まれるビタミンCは筋肉の合成に必要な栄養素で、抗酸化作用もあります。魚介類や肉などに含まれるタウリンは、筋肉疲労の回復をサポート。身体のさまざまな機能を調整する働きがあります」(谷口先生、以下同)

 これらの栄養素をしっかりとれるメニューとして、谷口先生がおすすめしてくれたのが『ゴーヤチャンプルー』

「タンパク質が豊富な豚肉に、豆腐、卵とビタミンCたっぷりのゴーヤは最高の組み合わせ。豚肉にはタウリンも含まれています」

 ゴーヤの苦みは食欲を増進させ、栄養価が高く夏バテ防止にもひと役。夏前からの定番メニューにしておきたい一品だ。

 もうひとつ重要なのが水分補給。目安にしたい水分摂取量は1日約1リットル

「水やお茶を飲むだけでなく、みそ汁やスープ、生野菜や果物などからでも水分をとれます。暑くて食欲がない、と食べる量を減らすのではなく、食事をしっかりとることも意識して。おすすめなのはキウイ。サッと手軽に食べられて、水分とともにビタミンCやカリウムなどのミネラルを摂取できます」

熱中症の予防になるタンパク質が多く含まれる『かつお節(加工品)』。100グラムあたり77.1グラムのタンパク質量(出典は文部科学省「食品成分データベース」)
熱中症の予防になるタンパク質が多く含まれる『かつお節(加工品)』。100グラムあたり77.1グラムのタンパク質量(出典は文部科学省「食品成分データベース」)

 年齢を重ねると、水分を保持する身体の能力が低下するうえ、喉の渇きを感じにくくなる。そのため気づかないうちに脱水症状に陥り、熱中症になる危険性もあるという。

「特に、寝る前の水分補給は徹底してください。寝ている間は汗をかき、水分が失われる状態。熱中症のリスクを低減させるためにも、おちょこ1杯分でも飲むようにしましょう

 ここで勘違いしやすいのが経口補水液やスポーツドリンクでの水分摂取、と谷口先生。

「大量に汗をかくと、体内から水分とともにナトリウムなどの電解質が失われますが、これらをすばやく補給するのが、経口補水液やスポーツドリンクの役目です。しかし経口補水液は、主に軽度や中程度の脱水症状をよくするために飲むものなんです。塩分が高いため、水がわりに日常で飲むものではありません。スポーツドリンクも糖分が多いので、炎天下での労働やスポーツなど、大量に汗をかいたとき以外では、飲みすぎには注意が必要です」