筋肉維持のためには食事プラス運動が大事だが、走ったり、ジムに行ったり、ハードなものである必要はない。

熱中症が疑われるときに牛乳はNG

「日常の家事や買い物、通勤でも十分に運動になります。仕事の合間や休憩時間にスクワットをしたり、自分の体力に合った運動を無理のない範囲で続けてください」(谷口先生、以下同)

 暑くなってきたら、日傘帽子首冷却アイテムなどで対策し、夜もエアコンを使用。涼しく快適な環境で良質な睡眠をとり、疲れをためないこともポイントだ。

熱中症の予防になるタンパク質が多く含まれる『ナチュラルチーズ/パルメザン』。100グラムあたり44グラムのタンパク質量(出典は文部科学省「食品成分データベース」)
熱中症の予防になるタンパク質が多く含まれる『ナチュラルチーズ/パルメザン』。100グラムあたり44グラムのタンパク質量(出典は文部科学省「食品成分データベース」)
【写真】熱中症の予防になるタンパク質が多く含まれる意外な食材

 それでも熱中症になってしまったときは? そのときこそ、水分、ナトリウム、カリウムを必要な濃度で、すばやく摂取できる経口補水液の出番。脱水症状が起きているとき、真水だけを短時間に大量に飲むと、体内の塩分濃度が急激に下がり、水中毒の状態になる場合があるのだ。

 そのほか、牛乳やアルコール類、カフェインを含む飲み物も、熱中症が疑われるときは避けたい。

「牛乳には暑くなる前の熱中症予防には有効なタンパク質が多いのですが、熱中症になってしまったときは体温を上げてしまい逆効果に。アルコール、カフェインには利尿作用があるので、これらも避けたほうがいいでしょう」

 全国的にすでに気温は上がっている。一日でも早く熱中症対策を始めることが肝心。必要な食事をして身体を動かし、休息をとり、来たる猛暑に備えよう。
 

熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜先生
熱中症に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜先生

教えてくれたのは……谷口英喜先生●済生会横浜市東部病院患者支援センター長。医学博士。麻酔科医師。東京医療保健大学大学院客員教授。熱中症・脱水症に関する報道・解説でテレビ・ラジオに350回以上出演。著書に『熱中症からいのちを守る 2024年』(評言社)などがある。

取材・文/小林賢恵