もう早く当たって!という切実な夢
最後は参加者からの質疑応答へ。「直近の夢は?」
燃:誰かから「こういうのやってほしいんですけど」というお題をもらって、応えたいなっていうのが夢ですね。ものを書く仕事って、0→1の仕事っぽいけど、本当にそうなのかなって。アーティストと呼ばれる仕事も含めて、ほとんどの仕事が全部、読者の方だったり、クライアントだったり。
人が求めてることって何なんだろう、自分ができることって何なんだろうと考えて、じゃあ、この場合はこういうことだよね、と出していくことだと思っていて。だから他力本願というか、自分の人生を左右してくれるような人に出会って、もっとこうしてほしいとか、なんかこういうふうにしたいとか言われて、じゃあなんか考えてみようかなって思えることが起きるのが夢かもしれないな、とずっと思ってやってます。
戌:俺は普通に仕事をもっとたくさんできるようになりたいです。就職活動みたいですけど(笑)。あ、それで夢とはちょっと違うかもしれないけど……毎回銀行口座から金を下ろして残高見ると、だんだん少なくなってきて「やばい」と思ってるんだけど、いつも「宝くじ」ってとこ押して、買っちゃうんですよ。
燃:ええっ、そんな押すとこありますか!?
戌:みずほ銀行だと、買えちゃうんですよ!それで自分の誕生日と、奥さんと娘の誕生日の日にちを入れて買ってるのね、ロト6。それをやめられないんだよ! もし買わないでその数字が来ちゃうと嫌だから、もう早く当たってほしい!(笑)
燃:残高が減るか、夢が叶って当たるかのどちらか!(笑)
戌:買ってないと「どうしよう!」って思っちゃって。
燃:もうなんかオンラインカジノみたいになってる(笑)。
戌:オンラインカジノは怖いですからね……だからロト6で終わらせておきます。週に千円使うか使わないかくらいなんで(笑)。

戌井昭人●1971年、東京都生まれ。文学座を経て、'97年パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げし、俳優、劇作家として活躍。2008年『鮒のためいき』で小説家デビュー。『まずいスープ』『ぴんぞろ』『ひっ』『すっぽん心中』『どろにやいと』で計5回芥川賞にノミネートされる。'16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞受賞。

燃え殻●1973年神奈川県生まれ。テレビ番組の小道具制作会社勤務を経て、2017年にネット上で連載した『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。著書に小説『これはただの夏』『湯布院紀行』、エッセイ『それでも日々はつづくから』『夢に迷ってタクシーを呼んだ』『明けないで夜』など。作品が次々と映像化、舞台化されるなど、今注目の作家。
取材・文/成田 全