全身の筋肉の約7割が下半身に集まる

「全身の筋肉を一気に鍛えるのは大変なので、優先順位を決めて行います。まずは下半身。人間は二本足で立って上半身の重みを支え、姿勢を保ちながら活動するので、下半身には大きくて強い筋肉がたくさん集まっているのです。その量は身体全体の60~70%にも。ところが、強いがゆえに衰えやすい」

 現代人は座っている時間が長く、歩く時間が少ないため、年齢とともに下半身の筋力低下が顕著に。

「下半身の筋肉が衰えると、筋肉が身体を支えられず、転倒したりつまずきやすくなったりします。日頃からウォーキングをしているからと、筋トレの必要性を感じない人もいると思いますが、ウォーキングだけでは残念ながら下半身の筋肉を十分に鍛えることはできません。

 特に、速筋という立ち上がりや階段の上り下りに必要な筋肉は、ウォーキングのような有酸素運動では使われないため鍛えにくい。効率的に筋肉を増やすには筋トレや負荷の高い運動を心がけて」

 そこで、坂詰さんが推奨するのがダンベルやバーなどの重りを一切使わないスクワット。毎日行う必要もないという。

「筋トレはやればいいというわけではなく、頻度が多すぎると逆効果。トレーニングによって強く刺激された筋肉は、疲労が蓄積して育たないんです」

 筋トレ後は身体を休め、糖質やタンパク質などの栄養摂取を心がけて、回復を促そう。疲れが取れたら、前回よりも少し負荷をかけてトレーニングを。この繰り返しで、筋肉は順調に成長する。

 効率的なサイクルは48時間~72時間、つまり毎日よりも、2、3日おきにトレーニングをしたほうが、むしろ結果が出やすい。行う際は正しい方法とフォームで継続することが重要。

「高齢者の場合は、関節や骨の老化が進み、機能が低下している可能性があるため、関節に違和感や痛みのない範囲でトレーニングしましょう」

 筋トレは何歳からスタートしても遅くはなく、動かさなければ筋力は落ちていく一方。だからこそ、一日でも早く始めるのが正解だ。一生歩ける足腰、元気な身体と気持ちを手に入れるためにも早速、次ページのトレーニングを始めてみよう。
 
※夏場は水分補給を欠かさずエクササイズを

体内の約60%は水分でできている。それを下回ると水分不足になり、筋肉のけいれんや疲労感などの不調が。汗をかきやすい運動中は利尿作用がある、緑茶や紅茶、コーヒーを飲むことは避けて。麦茶やハーブティーなど、ノンカロリー、ノンカフェインであればOK。ダイエット目的なら無糖の炭酸水。満腹感があり食事の前に飲めば食べすぎの予防にも◎