「8秒間跳ぶ」だけ運動療法

 そこで、先生が編み出したのが、「8秒間跳ぶ」だけという、毎日手軽に行える新しい運動療法。

「実は私も遺伝的な高血圧で、一時期は頻繁に15mmHg超の数値が出ていました。ところが、ジャンプをするだけの運動療法を続けることで、いまでは13mmHg程度で安定し、内臓脂肪も減り、10キロのダイエットにも成功しました。実際に患者さんにもすすめていて、多くの方が血圧を安定させています」

 先生は、もともとダイエット目的でジャンプ運動を始めめたそう。

「最初は運動強度の高い縄跳びをしようと思ったのですが、道具が必要だと、思い立ったときにできないのもあり、思い切ってジャンプだけをするように。ジャンプの運動強度は、1日10分以上行えば、約30分以上歩いたのとほぼ同じ効果が得られるなど絶大。ただ、いきなり10分以上跳ぶのは膝など身体に負荷がかかります。なので、8秒間1セットをひとまず日々の習慣に取り入れてみてください」

 詳しいやり方は上図を見てほしいが、どうしてジャンプをするだけで血圧が下がるのか。

「世界中のさまざまな研究から、血圧低下には運動が必須ということは明白なのですが、特に大事なのが有酸素運動と筋トレの両方を行うこと。ジャンプは適度に酸素を吸いながら跳ぶので、運動としてはランニングと同じ有酸素運動といえます。さらに、ジャンプをするとふくらはぎや太ももなど下半身の筋肉が鍛えられ筋トレの要素も」

 また、ジャンプには心肺機能を高める効果があり、それも血圧を下げることにつながるのだという。

「心肺機能が高まると、力強い心拍によって血液が送り出されるため、血流がよくなり血管にかかる圧力も減り血圧が下がりやすくなるのです」

教えてくれたのは伊賀瀬道也先生

高血圧専門医・指導医、抗加齢医学専門医・指導医、老年医学専門医・指導医、循環器専門医。愛媛大学医学部教授、愛媛大学附属病院抗加齢・予防医療センター長。著書に『血圧がみるみる下がる!8秒ジャンプ』(文響社)ほか。

※医師から運動を止められている人、心臓病、腎臓病、または腰痛や膝痛が重症の人には推奨できません。股関節痛などがある人もまずは主治医に相談をしてください。