肩甲骨周辺の筋肉をほぐして背骨を伸ばす

 認知症の原因はさまざまではあるが、亀背を予防・改善することが脳にとって大切なのは間違いなさそうだ。そもそも亀背になるまで、背中が曲がる原因はなんだろう。

「亀背は生まれつき脊椎の変形がある場合や、脊椎の病気などが原因の場合もありますが、高齢者の亀背のほとんどは背骨の圧迫骨折です。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などによって背骨が押しつぶされたり、摩耗・変形して、背骨が弯曲していくわけです。

『骨折』といっても痛みや自覚症状はありません。そのほか、首や背骨を支えている胸や背中の筋力が低下すると、前傾姿勢になってしまいます」

 すなわち、骨粗鬆症、筋力低下を防ぐことが「亀背」の改善につながるようだ。亀背の人は例外なく筋肉が硬くなっていて、姿勢改善にはストレッチが有効だという。

「肩甲骨まわりと股関節まわりのストレッチを1日1セットやってみてください。筋肉がほぐれ、背骨も徐々に伸びていきます。併せて、日常生活に運動習慣を取り入れてほしいですね。

 ウォーキングなどの有酸素運動は、認知症の予防になることがわかっています。背すじを伸ばして顔を上げ、胸を張って腕をよく振ってウォーキングすれば、ダブル効果が得られるはずです」

 また、パソコン、スマートフォンの見すぎなど、長時間同じ姿勢を続けるのも背骨によくない。合間のストレッチを心がけてほしいという。

 さらに梶先生は、骨粗鬆症の予防として、特に女性に気をつけてもらいたいことに食生活を挙げた。

「閉経を迎える50代から、女性ホルモンの減少もあって、女性は急激に骨量が減ります。カルシウムやビタミンD、マグネシウムなどの栄養を含む乳製品、きのこ類、海藻類の食材を積極的にとるようにしてください。

 姿勢の悪化は老化の第一歩。そして、認知症の入り口です。日々食事や運動に気を配り、背すじを伸ばした姿勢を意識して過ごしましょう」

 いま、猫背ぎみという人は、亀背になる前に。亀背に近いという人も改善可能なので、まずはストレッチから始めてほしい。