運動と食事の二本柱で改善

名医が教える長生き腸活4つの実践技
名医が教える長生き腸活4つの実践技
【写真】名医が教える長生き腸活4つの特効法

 それでは、腸の動きを改善するにはどうすればいいか。

「自律神経を整えるのは基本中の基本。ストレスや睡眠不足など自律神経のバランスを崩す要因をできるだけ取り除くことが大切ですが、なかなか難しい人も多いかと思います。そこで手っ取り早いのが、お腹を温めること。手でさすって、摩擦熱でお腹を温めるといいでしょう」

 運動やマッサージでお腹を刺激するのもいい方法。

「運動で物理的に腸を動かせば、蠕動運動が促されます。腸を刺激すると、排便を促す副交感神経の働きも活発になり一石二鳥です」

 腸活に効果的なタイミングもある。

「便を強く押し出して便意を催させるパワフルな蠕動運動を〈大蠕動〉といいます。大蠕動は胃と小腸が空っぽの状態で、胃に食べ物が入ってきたときにしか起こりません。胃と腸を空っぽにするにはおよそ8時間、食べ物を入れない時間をつくることが必要ですが、自然に大蠕動の状態になっているのが朝食後。そのとき、蠕動運動をアシストするつもりで、運動したりマッサージしたりするといいでしょう」

 一方、食事では発酵食品や乳酸菌とあわせて食物繊維をとることを意識したい。

「食物繊維には水溶性と、不溶性の2種類があります。水溶性は、便をやわらかくしたり、善玉菌のエサとなったりします。水分を含んでゲル状になってから便として排出されるので、コレステロール値を下げることも期待できます。不溶性も腸を刺激して蠕動運動を促進するほか、便のかさ増しになり便通を促します」

 水溶性と不溶性を〈1:2〉のバランスでとるのがベストなのだそう。

「とはいえ、含有量をいちいち調べるのは面倒。2種類の食物繊維を〈1:2〉に近い割合で含んでいる食材を日々の食卓に取り入れるといいでしょう。具体的には、オクラやゴボウが該当します」

 運動と食事法を実践して、腸を長生きさせよう。

教えてくれたのは―川本 徹先生

消化器外科・川本徹先生
消化器外科・川本徹先生

1987年、筑波大学医学専門学群卒業。専門は消化器外科。元筑波大学消化器外科講師。2003年より、アメリカ・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがんの研究も行うなど幅広い知識も習得。『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)8万部超のベストセラーの著書がコンパクト版で登場。

『結局、腸が9割名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)8万部超のベストセラーの著書がコンパクト版で登場。

<取材・文/中西美紀>