現役時代と価値が違う「小さな仕事」に注目
第二のポイントは、「小さな仕事」に目を向けること。小さな仕事とは、坂本さんが提唱する仕事の一群。“報酬はそれほど高くはない”けれど、“労働時間が短く”かつ“仕事の負荷やストレスが少ない”、そして、“社会に貢献する価値ある仕事”を指している。
「シニアになると、仕事に対する向き合い方が変わってきます。現役時代のように出世や収入を求めてがむしゃらに働くのではなく、自分のできる範囲でよしとする。仕事内容は身近な人の役に立つことや社会への貢献に重点を置き、新しい体験をすること、身体を動かすことに価値を見いだしていく。こうした傾向がデータから読み取れます」
そして、この小さな仕事は、人手不足もあり、需要も高まっているそうだ。
「例えば、保育。担うのは保育士ですが、人手が足りなくて『保育補助』の仕事が増えています。保育士が多忙なため、短時間でいいのでサポートしてほしいわけです。看護師を助ける『看護助手』や、調理師を助ける『調理補助』も同じですね。こうした仕事は資格不要なので、就職しやすいという利点もあります」
第三は、自分の好きなことや得意なことを軸にすること。
「人と接するのが好きなら接客業、手先が器用なら製造業、という感じで探せばいい。好きなこと、得意なことは長続きしますし、やりがいや生きがいを感じられるでしょう」
次ページでは、シニア女性におすすめの仕事を紹介。シニアからでも無理なく働けて満足度の高い業種を厳選しており、なかでも「女性が働きやすい」仕事を坂本さんにピックアップしてもらった。
年金支給、定年後の家計収支などのデータを踏まえ、生活費を小さな仕事で月10万円カバーすれば、豊かな暮らしが可能と坂本さんは言う。
「近年は働き方も多様化しています。短時間・単発で働くスポットワークや、観光地に住み込んで働くリゾートバイトが登場し、シニアにも人気です。仕事や働き方にいろいろな選択肢があることをまず認識しましょう。
そのうえで、良さそうだと思ったら積極的にトライしてみる。新しい仕事を通じて人・地域とのつながりを築いたり、健康状態を保ったりして、心豊かに暮らすシニアが増えています」











