高齢者だけでなく誰にも起こり得る
「どの程度の費用を残すべきかは、最終的に引き受け手との相談により決めていく必要がある。遺言や贈与契約を活用して費用について明確な意思表示をすることで、譲渡先も安心してペットを引き受けることができるでしょう。
また残されたペットを『誰に託すか、費用はどのように支払うか』などを書面化しておけば、別居家族などにもスムーズに事情を伝えることができます」
引き受け手と飼育費用の残し方が決まったら、最後に飼い主の見守り体制を確立することで、ペット後見の基本型が完成する。
「見守り体制とは、飼い主の危機を察知してペットの保護を含めた対応をすぐに行える体制を築いておくことを指します。誰にも気づかれずペットと一緒に孤独死していたという事態を避けるためにも、飼い主が飼育困難な状況になったとき、自身とペットの危機を外部に連絡できる手段を確保しておきましょう。
私の団体では頼れる親族がいない場合、なるべく警備会社や身元保証会社の見守りサービスなどの利用をオススメしています」
飼い主が亡くなった後、残されたペットは子や孫、友人に引き取られることが自然な流れだが、最近ではそういったコミュニティー自体が希薄化しており、ペット後見の需要が増加しているという。
「頼れる人が身近にいないからこそ、ペット後見に頼りたいというご相談の声は増えています。また、高齢者だけでなく若い世代であっても突然死や不慮の事故に遭う可能性はありますし、実際にそういったケースも多く見てきました。どの世代であっても、動物を飼った時点で後見について準備しておくことは一つの責任だと思います」
もし自分がいなくなったら、誰がこの子を守るのか?その事前準備をしているかどうかで、ペットのその後の生涯は大きく変わるだろう。
「ペットを家族に迎える前にこそ、後見について考えてほしい。多くの人が“うちはまだ大丈夫”と思っていますが、すでに飼っている人も現実を見つめて備えていきましょう。ペットの未来を守れるのは飼い主さんだけですから」
高齢化や社会的孤立が進む今、ペット後見は動物を飼うすべての人にとって身近なテーマになりそうだ。
『自分の死後も愛犬・愛猫を幸せにする方法』(ワニブックス・税込み1760円)
年齢を理由に動物との暮らしを諦めていた方に一つの道標を伝える一冊。
教えてくれたのは……奥田順之さん●獣医行動診療科認定医。岐阜大学獣医学課程卒獣医師。鹿児島大学共同獣医学部講師(動物行動学)。2012年、NPO法人 人と動物の共生センターを設立。飼育放棄の主な原因となっている問題行動の予防・改善を目的に、犬のしつけ教室ONELife 開業。'14年、ぎふ動物行動クリニック開業。'17年、「ペット後見互助会とものわ」を設立し、ペット後見のサポートを開始。ペットと自分の将来に悩む飼い主への支援を行っている。
取材・文/片岡あけの


















