老障介護において最も悩ましいのが、親が亡くなった後の障害のある子どもの生活だ。太山さんに実情を伺った。

両親が亡くなれば一人で送ることは厳しい

私が相談を受けるのは就労訓練が可能な、重度ではない障害の方が多く、就労支援事業所などにつないで、障害者が働くサポートをしています。それでも日常生活を親御さんに頼っている方がほとんどで、ご両親が亡くなれば、現状どおりの生活を一人で送ることは厳しいでしょう。

 私が携わったケースに、働き盛りだった娘さん(30代半ば)がある日突然脳卒中で障害者となったケースがあります。現在は70代後半の父親と二人暮らしで、家事や外出時の移動介助は父親に頼っています。

 本人は事業所に通うことでわずかな工賃を得ているものの、親亡き後を想定したとき、自立に十分な収入とはいえません。そのため、お父さまは現状の介護負担や近い将来訪れる自分の亡き後を憂い、不安を吐露されています

 親が死んだ後の準備を事前にしておくべきだと思っていても、そう簡単ではない。

「本人は家族との暮らしが心地よく、自ら積極的に生活スタイルを変えようとはしません。そして親御さんもわが子が心配なあまり、死ぬまで同居を続けたいと願うことがほとんど。

 ですが強い意志を持って、存命の間に子どもをグループホームへ入居させるなど、自立のために準備することを提案しています。親の死後では時間もなく、本人に合う施設をじっくり探すことができず、後々問題になることも多いのです

 精神疾患などで長らくひきこもりを続ける子どもがいるケースなどを含めると、将来的に老障介護のような状態になり得る家庭はかなり多く、潜在的な危機を抱えている。

 子どもが自身で生計を立てられなければ、ほとんどの家庭で起こり得る問題だと指摘する。

40代後半の男性は、学生時代のいじめをきっかけにうつ病を発症し、高校卒業後からずっと家にひきこもっています。ご両親は経済的に余裕があるせいか将来のことはあまり深く考えていません。しかし親の死後、彼一人では掃除すらできませんし、本人が家事代行の契約をすることも難しい。親御さんが存命のうちに手続きを行うべきだとお伝えしていますが、ご家族や本人に危機感がないのでなかなか進みません