「熱中症は、室内の寒暖差に気を配るだけでは防ぐことができません。お湯の温度が大切で、熱いお湯に長時間つかるのはNG。

 例えば、42度のお湯に10分つかると、体温が1度上昇します。38度を超える高体温は、熱中症や意識障害などをもたらす危険なレベルです。41度以下のお湯で、10分までの入浴を目安にすること。41度のお湯であれば、10分入っても体温は38度以下に保たれます」

 浴槽から出るときも注意しなければならない。急に立ち上がると一時的な意識喪失や立ちくらみを起こすことがあるからだ。手すりや浴槽のへりにつかまり、ゆっくり立ち上がるようにしよう。

「お風呂の環境面以外でいえば、食後すぐの入浴は控えたほうがいいと思います。高齢者は食後一時的に血圧が下がりやすく、入浴中に失神するリスクがあります。飲酒も同様。お酒を飲んだあとはアルコールが抜けるまで入浴しないようにしてください」

 また、家族など同居者がいる場合は、ひと声かけてから入浴するのも重要だという。

「『いつもより入浴時間が長い』『お風呂場で音がまったくしない』などと感じたときは、様子を見に来てもらうようにする。万が一、体調の悪化など異変があった場合にも早期発見してもらえるので、安心です」

冬の入浴で気をつけたいポイント

ヒートショックを起こす温度変化

 暖かい室内では血圧は安定。寒い脱衣所や浴室へ行くと血管が収縮し、一気に上昇する。その後、浴槽で身体が温まるにつれて血管が広がり、血圧は低下していく。こうした血圧の急激な変動が一時的な意識障害などをもたらす。

風呂場で死なない7つの心得

1)湯温は41度以下を目安にする
2)長湯を避け、10分程度で切り上げる
3)のぼせや息苦しさ、動悸を感じたらすぐに出る
4)浴槽から出るときは、急に立ち上がらず、ゆっくりと
5)浴槽から出るときは何かにつかまる
6)飲酒後や体調不良時の入浴は控える
7)家族など同居する人にひと声かけて入浴する

 同居する家族がいる場合は、「いつもより長く入っている」「物音がしない」といった点に気づいたら、遠慮せず声をかけることも大切。発見が遅れることが、命に直結する。

薬師寺泰匡先生●救急科専門医。薬師寺慈恵病院院長。富山大学医学部卒業後、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院で救急医療に従事。2020年から病院長を務めつつ、岡山大学病院高度救命救急センターで救急医療にも取り組んでいる。
薬師寺泰匡先生●救急科専門医。薬師寺慈恵病院院長。富山大学医学部卒業後、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院で救急医療に従事。2020年から病院長を務めつつ、岡山大学病院高度救命救急センターで救急医療にも取り組んでいる。
【写真】入浴中の死亡者は9割以上が“シニア層”

教えてくれたのは……薬師寺泰匡先生●救急科専門医。薬師寺慈恵病院院長。富山大学医学部卒業後、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院で救急医療に従事。2020年から病院長を務めつつ、岡山大学病院高度救命救急センターで救急医療にも取り組んでいる。


取材・文/百瀬康司