目次
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ー 「ただの老眼」という思い込みが怖い
Page 2
ー 度数を調整できるものやルーペも同様
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ー 「老眼しぐさ」に気づいたら

 

 手元が見えにくいと感じたとき、100円ショップの老眼鏡に頼る人もいるのでは。

「ただの老眼」という思い込みが怖い

『絶対に使ってはいけない』とは言いません。普段使いの老眼鏡の予備や、ちょっとレシートを見る程度なら便利なツールです。ただし、常用するには大きなリスクがあります

 そう話すのは眼科医の平松類先生。最大の問題は、病気の発見機会を逃すことだという。

『ただの老眼だ』と思って安心しているのが、いちばん怖いんです。老眼だと思っていたら、実は片目が緑内障で失明寸前だったというケースは、実際珍しくありません。眼科で老眼鏡の処方箋を作れば、必ず眼底検査などで病気のチェックをします。

 緑内障や網膜疾患、白内障など、自覚症状がないうちに目の病気が見つかることも多い。でも100円ショップや雑貨店で買ってしまうと、この大切なステップを飛ばしてしまうんです」(平松先生、以下同)

 合わない度数の眼鏡を使い続けることにも問題がある。

「そもそも既製品の老眼鏡の度数が、あなたにぴったり合っているかどうかは疑問です。数種類の度数から選べる商品もありますが、『なんとなく合っている気がするもの』を勘で選ぶわけですよね。

 頻繁に利用していると、そのたびに目に負担がかかり、目の老化が余計に進み、老眼がより加速しかねません。度数が強すぎる老眼鏡を使うと、目のピント調節機能に過度な負担がかかります」

 結果的に、老眼の症状を悪化させる可能性があるという。既製品の老眼鏡には、度数以外にも問題がある。

※写真はイメージです
※写真はイメージです

既製品の老眼鏡は左右の度数が同じですが、多くの人は左右の視力が違います。片方の目だけ度数が合っていないと、脳が無理やり両目のピントを合わせようとして、疲れるんです

 中には乱視を持っている人も多い。目の酷使から脳が疲労を起こし、頭痛や肩こり、吐き気、さらには自律神経の乱れといった症状につながる可能性もある。

「PD(瞳孔間距離:左右の黒目[瞳孔]の中心からの直線距離)も既製品では調整できません。この距離が眼鏡のレンズの中心(光学中心)と合っていないと、それだけで眼精疲労の原因になります。

 安価な老眼鏡の中には、レンズに歪(ゆが)みがあったり、屈折率が一定でないものもあります。長時間使用すると、視界が歪んで見えたり、色がにじんだりします」