「緒形拳さんの『太閤記』は、それまでの重厚長大な歴史劇に“若々しいスピード感”を持ち込み、大河を誰もが見る国民的番組に押し上げました。まさにテレビというメディアがスターを生む時代の象徴です。一方、7位と同率6位の『徳川家康』は、山岡荘八氏のベストセラー小説を原作に、忍耐を重ねて天下を掴む家康の姿を重厚に描き出しました」

 当時、経済成長を支えたサラリーマンや経営者たちの間で『徳川家康』は“処世術や経営のバイブル”として圧倒的な支持を受け、家康の生き様がそのまま日本人の精神的支柱にもなった。

「5位の『おんな太閤記』は、佐久間良子さん演じる秀吉の妻・ねねを主役に据え、戦国時代を女性視点の“ホームドラマ”として描き直したことで視聴者層を爆発的に広げました。西田敏行さんが演じた秀吉の『おかか!』という呼びかけが今も記憶に残っているファンは多いはずです」

「忠臣蔵」という不滅のコンテンツ

・4位 赤穂浪士(1964年)31.9% 主演:長谷川一夫

 第4位は、大河ドラマ史上不滅の最高視聴率回53%を叩き出した1964年の『赤穂浪士』。主君の仇討ちを誓う「忠臣蔵」の物語は、当時最高の娯楽だった。

「かつて映画界のトップスターだった長谷川一夫さんがテレビドラマに主演するというだけで、当時の社会にとっては“事件”でした。銀幕のスターたちが毎週お茶の間で見られるという贅沢さが、この驚異的な数字に繋がっています。日本人のDNAを揺さぶる復讐と忠義の物語は、まさに大河ドラマの原点ともいえるでしょう」

・3位 春日局(1989年)32.4% 主演:大原麗子

 第3位は、徳川三代将軍・家光の乳母として大奥の権力を握る女性の生涯を描いた『春日局』だ。

「本作が放送された1989年は昭和から平成へと移り変わる年でしたが、橋田壽賀子氏による壮絶な“女の戦い”と献身的な愛が視聴者を釘付けにしました。当初は『地味な乳母が主役で大丈夫か』という声もありましたが、ふたを開ければ主演の大原麗子さんの演技も見事で、大河における“女性主役作品”の地位を不動のものにした金字塔となりました」