産後の回復も初産のときとは比較にならないほど早かった。第1子のお産で、苦しむ菊地さんの様子を間近で見ていた夫も「無痛分娩にしてよかったね」とホッとした様子だったという。

楽しいお産のシーンがあってもいいはず

 出産後しばらくは仕事を休み、穏やかな日々を送っていた菊地さんだが、子どもを連れて外出した際に印象的な出来事があった。

都内のショッピングセンターで、アフリカ系外国人女性の店員さんに、娘さんキュートね! と声をかけていただいて。そのときに『日本人ってわざわざ痛い思いをして子どもを産むわよね、不思議だわ』と言われたんです

 日本産科麻酔学会の調べによると、無痛分娩の普及率はアメリカで約7割、フランスで約8割だが、2023年の時点で日本はおよそ1割

 主な理由として、医療保険の適用外であることや麻酔科医の不足が挙げられるが、「痛みに耐えてこそ母になる」といった“母性神話”がいまだ根強いことも一因のようだ。

ドラマや映画の出産シーンも激痛に耐える様子ばかりで、お産は怖いものだという印象を与えてしまいますよね。たまには楽しいお産のシーンがあってもいいはず。そんなところから変えていくのもひとつの手だと思うんです

 自然分娩も無痛分娩も、両方体験できてよかった、と話す菊地さん。“自分で考え、自分で決めた”からこそ悔いが残らないお産となった。

出産後の子育て支援ももちろん大事ですが、そもそも“産みたい”と思えるかどうか、その前提も同じくらい大事ですよね。すべての妊婦さんにとって、あらゆる選択肢が尊重される環境になってほしいと改めて思います

取材・文/植木淳子 

きくち・あみ(35) タレント、元アイドル。北海道北見市出身。'18年に一般男性と結婚、'20年に長女、'25年に次女を出産。