「たまたま木の棒があって助かった」

 動画はわずか20~30秒だったが、クマの執拗な攻撃をかわしながら、佐藤さん自身も攻撃を続けていた。攻防の末、母熊は去っていったものの、佐藤さんは噛まれて大怪我。

 当時について、「無我夢中だったので噛まれた瞬間は痛みを感じませんでした。破傷風になるといけないので、病院に行き治療。骨は無傷でしたが、太ももと腕を負傷しました」と振り返った。

 突然の熊による突進に対して、怪我を負いながらも生存を果たした佐藤さん。

 “勝因”については、「山での仕事が長いので、クマに襲撃されそうになったら絶対“先制攻撃”をすると決めて、いつクマに出会ってもいいように常にシミュレーションしていました」「クマに背中を向けなかったこと、倒れなかったこと、諦めなかったこと、気迫だけは負けないという強い気持ちがあった」と語っていた。

熊はしつこかったものの、ちょっと噛みついてすぐに去ったという(YouTubeチャンネルより)
熊はしつこかったものの、ちょっと噛みついてすぐに去ったという(YouTubeチャンネルより)
【写真】“生存者”が開発した「熊撃退用ポール」と驚愕の“襲撃映像”

 また佐藤さんは「今回はたまたま木の棒があって助かった」とも話していた。まさに“九死に一生”の経験から、撃退用ポールの製作に至ったというわけだ。

「アルミ合金などでできたポールは先端が二股に分かれ、長さは1m15cmから1m70cmまでが用意されています。クマの動きに対応できるよう、最も軽いものは約500g。猟友会の人々からのアドバイスも受けて製作したといいます」(前出・社会部記者)

 佐藤さんが運営するサイト『原生林の熊工房』から購入できるポールは、サイズ別で12,000円~27,000円(税込み、送料別)だ。

 話を伺った当時、「私自身もクマが好きですが、同じ生活区域で生きている以上、まずは自分たちの命が第一です」と語っていた佐藤さん。被害が続く以上、先人の知恵が全国で活かされることを願うばかりだ。