日割り計算したら安くてお得、安心

 機能面はメーカーごとに異なるものの、反射材や防犯ブザー用のフック、背中へのダメージを軽減する背面クッションなどは、ほとんどのランドセルに採用されているという。

「最近は『立ち上がり背カン』も人気です。ランドセルの背面に対して、肩紐が立ち上がる状態でついているものをいいます。身体への密着度が高まり、肩や腰にかかる負担が分散されるので、うまくフィットすれば本当に軽く感じられます」

 現在のランドセルの市場規模は、約550億円前後で推移している。少子化によって販売数量は減っているものの、単価が上がったことで全体の売り上げをキープしている。30年前は平均3万円程度だったのが、今いちばん売れる価格帯は6万円前後だという。

「単純に原材料の価格が上がったこともありますが、お客様が求めるランドセルのクオリティーが、昔とはまったく違います。刺しゅうやロゴなどのデザイン性や、充実した機能など、“ちょっといいもの”をお求めになる方が多いです」

 例えば、コードバン(馬の革)のランドセルの場合、相場約16万円の高級ラインだ。また、DIESELやマリークワント、ポール&ジョーなど、人気アパレルブランドから出ているランドセルも、相場より高めの価格設定。鉄道や美術館とコラボしたモデルなど、ランドセルの付加価値も多種多様になっている。

 とはいえ、高価格帯のランドセルばかりではない。市場には1万円前後の“激安ランドセル”も並ぶ。実際、価格によってどのくらいの差があるのだろうか。

「私たちが定義するランドセルは、人工皮革、牛革、コードバンのいずれかを使った箱型の背負えるカバンを指しています。一方、安価なモデルはナイロンやポリエステルなど、革以外の素材を使っていることが多い。耐久性が劣るので、まず6年間は持たないと思います」

 実際に、ランドセルの代わりにナイロン製のリュックを買った1年生が、2年生に上がるころに改めてランドセルを買いに来るケースは例年あるという。

「軽くて使い勝手がいいということでリュックを買ったものの、やはりランドセルが必要だと買いに来るお客様は、毎年一定数いらっしゃいます。壊れたり、汚れが落ちないといった理由がほとんどですね」

 対してランドセル工業会が定めるランドセル規格にのっとって作られたランドセルは、6年間修理保証がつく。万が一、製造元が廃業したとしても、代わりにランドセル工業会員が修理するというW保証もある。

「元気な小学生が6年間毎日使っても壊れないのが、ランドセルの大きな価値です。高価といっても、6年間を日割り計算したら50円程度で、今のペットボトル飲料1本よりも安い金額。値段だけが前に出がちなので、工業会としてはランドセルの価値をもっとアピールしていかなければと思っています」