原因不明の髄膜炎で倒れ救急搬送

 ミワユータさんの半生は病気との闘いだった。10代のころから希死念慮を抱え、双極性障害の薬を常用してきた。2006年にバンドを結成し、年間150ステージをこなすも、2014年に原因不明の髄膜炎で倒れ、救急搬送。

乳がんによる左胸の全摘手術後に撮影。「ありのままの自分」を表現した一枚 写真提供/ミワユータさん
乳がんによる左胸の全摘手術後に撮影。「ありのままの自分」を表現した一枚 写真提供/ミワユータさん
【写真】全摘出術後「ありのままの自分」を表現したミワユータさんの写真

 失音楽症に半身麻痺、幻覚など、ひどい後遺症に悩まされた。自覚のないまま暴れ、拘束されたこともあったという。ステージ復帰まで、入院治療と長いリハビリを行っている。

「ようやく調子が良くなって日常を取り戻したと思ったら、今度は乳がんになって。まったく、慌ただしい人生です(笑)」

 闘病をそばで支えてきたのが、バンドメンバーたちだ。メンバーとは10代のころからの付き合いで、シェアハウスで生活を共にする間柄。ミワユータさんはバンドの紅一点で、検査や入院、手術まで、3人のメンバーが代わるがわる付き添っている。

「3人を“内縁の夫”ということにして。だから私、病院では謎の女だと思われていたはず(笑)。手術後に目が覚めたときも“内縁の夫”の1人がそばにいました(笑)」

 検査に入院、手術、抗がん剤治療と、がんは高額な医療費が必要となる。しかし、脳炎を患った関係で、保険には入れず、費用は心もとない。そこで、メンバーが制作したチャリティーTシャツの売り上げを治療費に充てた。術後の治療方針を決めるときのことだ。

「手術で摘出した検体をアメリカに送り、再発率やどの抗がん剤が合うか調べることができると言われました。ただそれには40万円もかかると。すると付き添いで来ていたメンバーが、“やります!”と言い出して。みんながTシャツを買ってくれたお金がまだある、だから出せると……」

 手術は無事成功。5日間の入院生活を経て、予定より早く退院の日を迎えた。

「早くステージに立ちたい、その一心で、巻きで退院させてもらいました(笑)」