そこで仲野先生がすすめるのが、AIを「予習」に活用することだ。

「ただしAIの情報をうのみにしては絶対にダメ。主治医の説明を理解するために使い、最終的にすべて医師に確認しましょう。医師と相談の上でベストな治療法を決めたら、あとは思い悩みすぎないことです」

看取りの基本方針だけでも家族と共有しておく

 治療による副作用が強い場合、どう対処するかを考えておくのは、最も重要だ。

「副作用がひどくて患者は治療をやめたいのに、家族は少しでも長生きしてもらおうと治療を続けさせる、なんてことはよくあります。私の母は25年以上前に胃がんの手術を受け、退院後は抗がん剤を服薬していました。ですが、倦怠感があるといって薬を勝手にやめてしまったんですよ。さすがに無理をしてでも続けたほうがいいとすすめましたが、本人が嫌だと言うのでどうしようもない。

 周りは心配になりますが、どこでギブアップするかは、本人のつらさと薬の効果の兼ね合いで考えるしかないですね。それでも母は術後四半世紀ほど生きましたし、手術で自然に減量したおかげで、膝の痛みが軽減されたと喜んでいたりして、予後はわからないものです

 我慢強さや性格には個人差があるため、治療方針の希望も事前に伝えたい。

私自身はしんどい治療は嫌で、緩和療法を目いっぱいしてほしいタイプ。緩和ケアは治療をサポートするものでもあり、早くから取り入れることでQOLが向上し、納得いく生きざまを支えます。その際に家族にどのように接してほしいかも伝えましょう。我慢しすぎるタイプだから、本当に大丈夫か気にかけてとか

 もしもの時の延命治療や、看取りの方法については、基本方針だけでも家族と共有しておくべきだ。

「状態が悪くなってからでは、延命治療や看取りについては、話題に出しにくいですからね。多くの人は、できたら最期は家で迎えたいけど、叶わないなら仕方ないと思うのかな。こればかりは家庭の事情や、お住まいの地域によってできることが変わります。現在は在宅ホスピスという、自宅で最期を迎えるために医療・介護チームが支える体制や、公的扶助も整っているので、調べておきましょう

 親しい人ががんになった時に大切にしたい、3つのことがあるという。それは、1・生きている間に会いに行く 2・何かを伝えるより、語り合う 3・気にはかけるが、気にしすぎない。

「どれも、これまでどおりの気遣いで接することがいちばんだということ。もうすぐ死ぬかのごとく同情されるのも嫌ですし、何事もなかったように扱われるのも嫌でしょう。患者は、ただ話を聞いてもらうだけで落ち着くこともあるし、つらい時こそ普段のようにバカ話をしたいものです。

 そして、見舞いに行けばよかったという後悔は本当に大きいんですよ。私が医者になりたてのころ、叔父が食道がんを患いました。当時は治りにくいがんでしたし、本人に告知をしていなかった。いろいろ聞かれたらどうしようと悩み、ほとんど見舞えなかったことは、今でも残念に思い出しますからね