そのため仲野先生は、元気なうちに“会いたい人に会いに行く行脚”を計画中だ。
「がん罹患者の多くは、がんをきっかけに生き方が変わったと言うんです。特に時間を大切に生きようと思った人がとても多い。いつか来る日を想像し、私みたいに好き放題して(笑)、日々楽しく生きるしかないんです。がんを自分事として考えると、自分がどんな人だったのか、何が大切で、どんな人生だったのか。それを見つめ直せる気がしますね。いざ、がんになってから考え方が変わるのは、まったく自然なことです。その時々の心身の状態に合わせて、柔軟に考え直せばいいんです」
元気な今だから家族と話しておきたい5つ
・治療をどこまで望むか
・副作用が強い場合の考え方
・緩和ケアについての希望
・延命治療に対する意思
・最期を過ごしたい場所
主治医と相談しながら「標準治療」
「標準治療」と聞くと、「一般的な治療」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし実際は、科学的根拠に基づき、現時点で最も効果が期待できる治療法のこと。新しい治療が必ずしも最善とは限らないため、まずは標準治療を基本に、主治医と相談しながら自分に合った治療方針を考えていきましょう。
AIは「予習」に活用しよう
医師から治療の説明を受けても、専門用語が多く、その場ですべてを理解するのは難しいもの。仲野先生は、AIを「予習」のために活用するのは有効だと話します。事前に治療法について調べたり、疑問点を整理したりしておけば、医師の説明も理解しやすくなるでしょう。ただし、AIの情報をうのみにするのは禁物。理解を深めるための補助として活用し、最終的には必ず主治医に確認しましょう。
取材・文/植田沙羅
仲野 徹先生 大阪大学医学部卒業。京都大学医学部講師、大阪大学微生物病研究所教授などを経て、2004年~2022年に大阪大学大学院医学系研究科病理学の教授を務めた。2012年には、日本医師会医学賞を受賞。



















