宮本をひも解く3つのキーワード

■中国茶

「25年くらい前に烏龍茶ブームがあって、そのときにモロ好きになりまして。当時はお茶屋さんもいっぱいあったんです。いまでも残っているのは、原宿に1軒くらいしかなくなっちゃったんですけどね。

 急須がすごく好きで、あの小さい。モノとして魅力があって。カバンとか靴とかと置き換えるとわかると思うけど、“究極の何か”を探し続けるよね。僕の場合は“究極の急須”を探求したんですよ。そして、清の時代のモノと出会ったら、ピタリと物欲が止まりました。骨董品の急須は、偽物と本物がある。好き、キライじゃなくて、本物か偽物かの鑑定眼がつくまで自分で集めて研究したくなっちゃうんですよ。だから、ぜんぶ偽物を買っちゃったときもありました(笑)」

エレファントカシマシ・宮本浩次 撮影/佐藤靖彦
エレファントカシマシ・宮本浩次 撮影/佐藤靖彦
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■神保町+電車

「神保町にはよく行きます。最近はそうでもないですけど、1か月に1回は。僕、昭和、明治、大正の小説家にすごく憧れていますから。夏目漱石、芥川龍之介、森鴎外。森鴎外の歌を作っちゃったくらい。神保町は、本屋がたくさんあって、すごく個性があって素敵な街で古い本を売っている。なにか発見があるんですよね。

 電車は、本を読めるからと、やっぱり人を見るのが好きで。基本(移動)は、電車なんです。騒がれる? オレのことなんて、知らないですよ。知らない。テレビにそんなに出ているわけじゃないし、大丈夫。今日も、もちろん電車で来ていますし、電車で帰るんです。レコーディングとかのスタジオ作業のときや、夜遅くなっちゃうときは車なんですけど、ふつうの取材とか個人的な移動だとほとんど電車です。駅の階段を歩くのが好きなんですよ。それくらいでしか運動をしないと思っていて、無理やり階段を駆け上がったりします」

■最近、ハマっているもの

「服ですかね。いままで、あんまり考えたことなかったんです。一応、白のシャツに黒のパンツとかって、これまでにも考えてきてはいるんです。ただ、このスタイルの中にもいろいろなものがあると気づくと、服を見るのが好きになりましたね。

 今日も無理やりネクタイしてきたりして。ネクタイの結び方とかも、あまり知らなかったんですけど、ちゃんとスタイリストの方に聞いて、自分で結べるようになりました。年齢が高くなったからというのもあるんだけど、服を意識しようかなと思います。今日は、似たような服で来て、似たような服に着替えました。

 プライベートでも、白と黒が多いですね。黒って、改まった感じがしちゃうから、ちょっとそうじゃなくてもいいのかなと思ったりもしているんですよ。自分の好きな服を、しかもエレガントに着て、素敵って思ってくれたら、ますますいいわけだし、そうやって意識していこうと。(髪の毛をクシャッとしながら)これもやらないようにしています。精神的には、これやるとかなり落ち着くんですけど。でも、ここぞというときはキメるためにぐしゃぐしゃにしますけどね」