その飾らない姿は自宅近くでも評判だった。

 住んでいたのは、東京・文京区にあるマンション。直木賞作家の川口松太郎氏が昭和39年に建てた分譲マンションの先駆けといえるもので、築50年以上たってもその高級感は色あせず、現在も“ヴィンテージマンション”と呼ばれている。ここには多くの芸能人や作家が住んでいた。

野際さんは“その中で私がいちばん汚い格好をしているのよ”なんておっしゃっていてね。女優さんというか、出演者って、衣装があるから仕事場までは普段着で行くことが多いんですよ。でも、実際には野際さんはいつも素敵な格好をしていて、とても颯爽としていましたね」(山田氏)

 愛犬家ぶりも有名で近所を散歩する姿もよく見かけられた。一時期は6匹のシェットランドシープドッグ(シェルティー)と暮らしていて、

いい散歩コースがあって、そこで近所の同じシェルティーとケンカしたのを野際さんが叱っているのを見たことがあります」(近所のペットショップ店員)

 体調を崩してからは、愛犬と散歩することもめっきり少なくなっていたというが、

2か月くらい前には、お手伝いさんと、シェルティーちゃんたちをお散歩させていました。闘病生活が長いと聞いていましたが、近所の動物病院に連れていったりするのもよく見ていたので、まさかお亡くなりになるなんて思ってもいませんでした」(前出・ペットショップ店員)

 都内の自宅のほかに、もともと実家のあった神奈川県の逗子にはセカンドハウスを構えていた。広々とした敷地で、庭にはドッグランのスペースもある。そこでも愛犬たちと戯れる姿がよく目撃されていた。庭の手入れは自ら行っていたらしい。

「植えてあるお花や植栽には、野際さんがちゃんとお花の名前を書いた札を立てていましたね」(山田氏)