「おしんナイト」出演者が選ぶ名場面

エスムラルダ………………………第161回

 おしんの店にヤクザ者が来てイチャモンをつけるんだけど、おしんが「お控えなすって!」と仁義を切るシーンが大好き! 挨拶の口上は第99回で仕込まれたもので、ここで来たのかという驚きもあるの!

ひろぱげ……………………………第166回

 おしんが佐賀にいる竜三へ出した手紙を義母お清が先に読んで破いたものを、長男の嫁、恒子が拾い集めて裏張りして竜三に渡すんです。同じ嫁としてつらい思いをした恨みかも、という恒子にグッときました……。

成田全………………………………第126回

 嫁姑&夫婦関係がこじれてギリギリ状態のおしんが、東京の髪結の師匠のもとへの脱出を計画、しかし仲間に裏切られて失敗、おまけに大ケガを負ってお先真っ暗状態に……。田中裕子の鬼気迫る演技は必見です!

エスムラルダ:脚本家、パフォーマー、歌手、ライターなどマルチに活躍するドラァグクイーン
ひろぱげ:劇伴音楽に詳しいマニアックな音楽愛好家
成田全:ライター

『おしん』のテーマの秘密!

ひろ:『おしん』のテーマ曲はメロディーが覚えづらいんですが、1年間、毎日聴くものなので、飽きがこないよう適度に難しいものになっているんです。色彩豊かなコード進行によって印象が明るくなったり曇ったりしながらカタルシスを迎え、主人公の流転する人生を描いています。

 開演ベルとして機能する印象的なイントロは、私個人としては、一瞬風が吹いて、雪がドサッと落ちるイメージですね。また世界の民族楽器を使い、時代や民族を超えた雰囲気を醸し出すアレンジを施し、大地を踏みしめる力強いリズムは苦難を乗り越えるたくましさを感じさせます。

 印象的なのが、劇中おしんが何かを決断する場面で必ずテーマ曲のメロディーが流れることです。重要な場面で変奏曲的に使うことで、さらに印象が強くなるんですね。

 劇伴を担当した作曲家・編曲家の坂田晃一さんは、大河ドラマ『おんな太閤記』やアニメ『母をたずねて三千里』などもやっています。ぜひ聴いてみてください!

(取材・文/成田全)