人生に“調理定年”があってもいい

【2】外出先を楽しむためにトイレだけは必ずチェック!

 認知症や歩行困難の予防のためにも、「高齢者よ、町へ出よう」と日ごろから提唱している樋口さん。けれども外出時には安全・安心なトイレのチェックだけは必須と言う。

「京都駅で、和式の公衆トイレに入ったのですが、用をすませたら、なんと立ち上がれなかったのです。そんなバカな……と思いましたが、壁には手すりもなく、もがいても立ち上がれずパニックに。ぬれた床にティッシュを敷いて手をつき、なんとか立ち上がりましたが、まさに死闘でした」。

 そんな経験から、外出先ではまずは洋式トイレの場所をまっさきに確認。その後、心置きなく楽しむという。

長居する場所では必ず洋式トイレの場所を確認せよ! ※写真はイメージです
【写真】老いた後も生き抜く方法を教えてくれた、評論家・樋口恵子さん(89歳)

【3】ひところび100万円?転ばないことを心がける

 2016年の厚生労働省の発表によると、65歳以上の女性が要介護となった原因は、1位が認知症、2位が衰弱、3位が骨折・転倒となっている。

「私も転ばないように相当気をつけていましたが、筋力の衰えには逆らえず、この1年で3度ほど転びました」。幸い骨折はしなかったが、骨折すれば医療費もかかるし、家に手すりをつけるなどの工事も必要になる。「高齢者は“ひところび100万円”などという脅し文句もあるくらい。転ばないことは最重要課題のひとつなんです」

【4】堂々と胸を張って“調理定年”を迎えて

「80を過ぎてから、好きだった調理がおっくうになって」と樋口さん。お友達も「夫に先立たれてからは、好きだった料理も面倒になった」という声が上がったそう。「そこで、人生に“調理定年”があってもいいと、ある本に書いたんです。

 すると『すごく気持ちが楽になった』と予想以上に反響がありました」。まじめに食事を作ってきた人ほど惣菜を買ってくるのに罪悪感を覚えがちだが、ひとり分の食事は手を抜きがちになって、栄養バランスも偏ることが。市販品や宅配サービスの利用など、しんどくならない工夫をして。

お弁当だっていい! 粗食になって「栄養失調」になるのだけはご注意を

【5】予定を入れておっくうを撃退

 ヨタヘロ期ともなると何をするにもおっくうになりがちだが、「おっくう」に身を任せていると筋力や体力、精神力も衰えてしまいがち。「そうなると”老っ苦う“の負の連鎖に突入です」。

 おっくうとの戦いに負けないよう、樋口さんはできるだけ予定を入れて多忙老人になるのを心がけているそう。「習い事でもボランティア活動でも何でもいい。予定があれば、毎朝『エイッ、やあ!』と起き上がれることができるんですから」