老後資金を一気に増やす「正規雇用」

 パートで稼いで厚生年金に加入すればもちろん年金は増えるが、正社員になればもっと年金は増える。

年金額アップのためにも、もしチャンスがあるなら、正社員にならない手はありません。近頃はいい人材を確保するために、パートタイマーからの正社員登用に積極的な会社も増えています」

 栃木県在住の坂口加代さん(45歳、仮名)の例を見てみよう。坂口さんは子どもたちが高学年になったタイミングで、パートとして時給1000円の製造工場での勤務をスタートした。

「業務内容は陳列棚などの組み立てですが、私は身体が大きくて丈夫なので、重たいものもへっちゃら。細かい作業を黙々とするのは好きですし、接客がないからノーメイクでOK&服装自由というのもラクでした(笑)」

裏方の仕事ならメイクも服装もそれほど気にしなくていい イラスト/伊藤和人(イラストはイメージです)
裏方の仕事ならメイクも服装もそれほど気にしなくていい イラスト/伊藤和人(イラストはイメージです)
【写真】重宝される“主婦ならでは”の3つの武器とは

 坂口さんの働きぶりは評価され派遣社員に。徐々に現場でのスキルも上がり、子どもたちが高校を卒業した絶好のタイミングで、正社員雇用の誘いが。試験を受けて結果は合格、給料は1・5倍以上になったという。

「収入面のアップはもちろんですが、やっぱり正社員だと安心だし、社会人として一人前になったような気がして、それもうれしいですね」

 上田さんは「たとえ正社員でなくても、自分の厚生年金に加入することは家庭内での妻の立場としても重要です」という。

「将来、年金生活が始まったときに、夫の年金で食べさせてもらっていると思うと遠慮がちになってしまうかもしれませんが、経済的な自立があれば家庭内でも精神的に対等になれます。

 夫婦それぞれが年金をもらい、協力しあって家事も介護もやっていくのが理想。これを機に、主婦の皆さんにはぜひしっかり稼いでもらって、この先の長い人生を安心して過ごしてほしいですね」