早期発見の重要性

※パジェット病:乳頭や乳輪の表皮内にがん細胞がみられ、赤くただれたようになる。
※パジェット病:乳頭や乳輪の表皮内にがん細胞がみられ、赤くただれたようになる。
【画像】乳がんにおけるステージ別の“進行”状態

 今回、早期発見・治療ができたのは本当に幸運だった。でも、ステージ0でも、仕事をセーブしたことによる収入減や治療費の支出など、経済的にも結構な痛手。高額療養費制度を利用し、加入していた医療保険&がん保険も給付されたものの、度重なる検査や放射線治療は予想以上に高額で、どんどんお金が消えていった。

「乳房全摘(乳房切除術)後に行う乳房再建も高額な治療のひとつですが、近年は、日本人の乳房の形に合う“しずく形”も含めて健康保険が適用となり、選択の幅が広がりました。また、抗がん剤や放射線療法は長期に及ぶ治療が少なくないので、これらをカバーできる保険にしておくのががん保険のポイント。乳房再建までカバーできるとさらに安心です」(御喜さん)

 自分や家族の暮らしを守るためにも、定期的な検診受診や保険の加入・見直しなど、できる備えは万全にしておくべきと、経験者として声を大にして伝えたい。

手術と術後放射線療法の値段

●乳房温存手術(乳房部分切除)
28万2100〜42万3500円

●術後放射線療法(25回/5Gy)
25万〜45万円

●乳房切除術
22万5200〜52万8200円

※健康保険が適用されるため、かかる費用は1〜3割
(出典:『大切な人が入院・手術になったときの病気の値段がわかる本』※Amazonの販売ページへ移動します)

お話/御喜千代さん
医療アドバイザー。マーケティング・コミュニケーションを専門とし、健康概念理解促進目的の講演なども行う。著書に『大切な人が入院・手術になったときの病気の値段がわかる本』(アスコム)など。
取材・文/當間優子
51歳、結婚歴・出産授乳歴なしのフリーランスライター。美容健康系の取材も多く、健康意識は高め。親族にがん罹患者はいない。