短鎖脂肪酸の産生を促す注目の食物繊維
世界保健機関(WHO)は、成人1人あたりの食物繊維量として25gを推奨している。
「私も理想は1日あたり24g以上と考えていますが、現在の平均摂取量からすると、あと10g以上足りません。しかし、これを食品で補おうとすると、さつまいもなら2本弱、バナナなら9本、キャベツなら2分の1個程度を食べなければならず、日々この量をとり続けるのは難しいのではないかと思います。
そこでおすすめしたいのが、植物由来の水溶性食物繊維である〈グアー豆食物繊維〉です」
グアー豆とはインゲン豆と形の似たマメ科の植物で、インドやパキスタンなどの乾燥した地域に自生している。
「グアー豆からとれる食物繊維の発酵性は、水溶性食物繊維の中でもトップクラス。短鎖脂肪酸の産生を促進しやすいのが大きな特長です。
また発酵が急激に起こると、腸内にガスがたまり、おなかが痛くなったり下痢をしたりすることがありますが、グアー豆食物繊維は発酵がゆっくり進むのも優れた点。ですから腸が過敏な人にもおすすめです」

日本消化管学会から2023年に出された〈診療ガイドライン〉でも、慢性便秘症の人の排便回数を有意に増加させる食物繊維として、グアー豆食物繊維が紹介されている。
「その他にも腸管のバリア機能を高めるなど、数多くの作用が研究によって確かめられています。インフルエンザの発症や筋萎縮を抑える作用も確認されているので、免疫力の低下や筋肉量の減少が気になる高齢者の方にもぜひとっていただきたいですね」
グアー豆食物繊維は、主に通販サイトで購入が可能。粉末状で飲み物や料理に混ぜてとるものや錠剤タイプなどがある。また、セブン―イレブンでもグアー豆食物繊維入りのお茶やお菓子が販売されているので、そちらを試すのもあり。
「私自身、顆粒で水に溶けやすいグアー豆食物繊維をスムージーに入れて、ほぼ毎朝飲んでいます。その効果もあってか、忙しい毎日を快腸・快便で過ごせています」

教えてくれたのは……内藤裕二先生●京都府立医科大学大学院医学研究科 教授。消化器病学や消化器内視鏡学、生活習慣病の他、健康長寿や抗加齢医学、腸内フローラや酪酸菌研究も専門。酪酸菌と健康長寿の関係などの研究をはじめ、長年腸内細菌を研究し続けている本領域の第一人者。著書に『100年腸~最強食物繊維があらゆる不調を改善!』(内外出版社)。
取材・文/中西美紀