肌ケアは「やる」より「やらない」ほうが効果的
ケア用品を増やして、たくさんの美容成分を肌にのせること自体に慎重になるべきと落合先生。
「化粧品は、複数使うとそれぞれの成分がお互いに作用し合い、効果が弱まる可能性があることが研究でわかっています。必要以上に取り入れることには疑問を持ってほしいです。
そもそも、肌によいとされているヒアルロン酸やプラセンタも、外用の場合は肌自体を長期的に改善させるといった明確なエビデンスはなく、保湿効果も一時的なものにとどまります」
逆に、シミ、しわへの改善が実証された成分がトレチノイン(レチノイン酸)。
「肌のコラーゲン増生を促す薬としても注目の成分ですが、現状、化粧品に配合できる成分としては認められておらず、代わりとして配合されているのがレチノール。効能は似ているものの、その効果は低めです」
スチームやフェイスマスクも長時間の使用は控えるのが正解。角質層がふやけてバリア機能が乱れる心配がある。
「ピーリングは比較的物理的刺激が少ない方法ですが、週1回程度にとどめるのがよいでしょう。ただし、古い角質は自然に剥がれ落ちるので、無理に取り除く必要はありません。
マッサージも摩擦がくすみやシミの原因になります。使うスキンケア用品も減らし、とにかく顔を触る回数を少なくすることが重要です」
年齢を重ねると、よりたくさんのケアをしたくなるが、回復力が遅くなっているので、肌ケア時の刺激が新たな肌荒れを生むことも。
50代からは“攻めるケア”を増やすのではなく、“肌を守る”ことに特化するのが望ましい、と落合先生。
「健全な角質層の表面は、皮脂で覆われており、体内の水分が逃げないようになっています。乾燥を感じるのは、角質層のバリアが壊されて水分が流出しているというシグナル。セラミドやワセリン、ヒルドイドなどのシンプルな保湿剤を使って肌のバリアとなる皮脂を補強しましょう」
ケア用品を減らすことで、最初はもの足りなさを感じるかもしれないが、1か月半程度で改善が実感できるそう。
「肌はおのずと美しくなる力を備えています。この自己再生力を上げることで、年齢を重ねても健康な肌を保つことができます」