実現のカギは「ほかの党との協力」
各党が選挙前の公約として掲げていた消費税の減税率はバラバラ。前出の青山氏には、消費税の仕組みに対して次のように説明する。
「今の日本には8%の軽減税率があります。しかし、標準の消費税は10%なので、差は2%しかありません。これではほとんど意味がない。世界中を見ても、こんなに差がない国は日本だけなのです。
標準税率の半分だったり、食料品は0%という国も多い。軽減税率を採用している国は標準税率が20%だったりと、日本より高い国が多いですが、それにしても複雑な軽減税率を取り入れているにもかかわらず、その差が2%しかないのは意味がありません」
家計の消費支出に占める食費の割合を指す「エンゲル係数」が43年ぶりに高水準になった。これは“食べるだけで精いっぱい”であることを示しているとも。
「エンゲル係数を考えると、食料品の軽減税率は5%でもいいし、ゼロにしたりと、もっと差をつけていいと私は思います。物価高対策の前に、税の仕組みを改善するべきだと考えます」(同・青山氏)
今回の参院選の結果を受けて、現金給付も消費税減税も実現しない可能性が高いと語るのは、前出の永濱氏。“ポスト石破”の動きも考慮し、このような分析をする。
「今回、現金給付を打ち出した党が選挙で負けたわけです。よって、現金給付の可能性は低いと考えられます。自民・公明両党が、ほかの党と協力し合うことが重要になります。また、石破首相が退任し、次に就任する首相が誰になるかで、政策が変わる可能性があります。
今回の選挙結果を見て、最も自然な流れで協力があり得るのは国民民主党だと考えます。ただ、国民民主党の公約では、消費税減税の優先順位が高くありません。消費税減税ではなく、ガソリン税の暫定税率廃止や、基礎控除の引き上げが実現する可能性があります」
政府の物価高対策は急務だ。参院選で示された結果を見て、成長しなかった30年からどう脱却するのか……。国民の懐を一刻も早く豊かにしてほしい。