ビタミンB群は水に溶けやすく、一度にたくさん摂取しても不要な分は尿で排泄されてしまう。体内にためておけないため、たんぱく質と同様に、毎食コンスタントに取り入れるのがポイントだ。
基礎代謝量が自然と上がる
「特定の栄養素やカロリーを過度に減らすより、しっかり食べることで誰でも、何歳からでも、痩せ体質に変われます。人間の身体は約37兆個の細胞の集合体。栄養が行きわたれば、それぞれの細胞が活発に働き、基礎代謝量が自然と上がるのです」

筋肉維持の相棒になるたんぱく質は、肉、魚、大豆製品などからとれるが、いちばんダイエットに適しているのが鶏肉。理由は大きく3つある。
「まず、肉類はたんぱく質を構成するアミノ酸のうち、必須アミノ酸(ヒトの身体の中で合成できないアミノ酸)がバランスよく含まれている“良質なたんぱく質”であり、中でも鶏肉は豚肉や牛肉に比べて炭水化物が少ない特徴があります。
なおかつ、ビタミンB6、B1やB2など数多くのビタミンB群を含むので、効率的にカロリーをエネルギーに変換してくれるのです」
2大痩せ栄養素が一度にとれるとは、まさにダイエット最強食材! さらにビタミンB群が豊富な野菜も加えると、より減量に拍車をかけられる。
「次に、高たんぱく&低脂肪な部位が多いのも大きなメリットです。鶏肉には筋肉の材料になるたんぱく質が豊富で、筋肉の分解を抑制する、筋肉の合成を促すといった働きを持つBCAA(分岐鎖アミノ酸)が含まれています」
脂質をとりすぎることなく、筋肉の維持や筋肉量を増やす頼もしい味方になってくれるというわけ。
「そして、価格の面でも優等生です。育ち盛りのお子さんがいるご家庭でも、食べ応えをキープしながら普段の食事に取り入れられます」
ほかにも牛肉や豚肉に比べて低脂質な部位が多く胃腸の負担を軽減できることから、赤身肉の食べすぎによるがんや病気のリスクを下げられる利点がある。
ダイエット向きの鶏肉で思い浮かぶのはむね肉やささみなど、あっさりした部位に偏りがち。そこで注目してほしいのが部位ごとに違う味や栄養の特徴だ。疲労回復、骨の強化など部位によって有効な成分があるので、目的に合わせて選ぶのが◎。
脂肪が少なく臭みが少ない。淡泊な味わいながらイノシン酸やグルタミン酸などのうまみ成分が豊富。疲労回復効果や活性酸素を抑えるイミダペプチドが最も多く含まれる部位なので、運動後のリカバリー、アンチエイジングに役立つ。
やわらかくさっぱりとした味。糖質の代謝に関わるビタミンB1、糖質・脂質・たんぱく質の代謝を助けるビタミンB2、皮膚や粘膜の健康を維持するナイアシンが多く含まれている。低脂質、高たんぱくで消化に負担をかけたくない夕食に取り入れるとよい。
うまみが強く、しっかりとした噛み応えがある。抗酸化作用や免疫細胞の機能を高める働きを持つセレン、赤血球の材料になる鉄を多く含む。皮をはぐことで100グラムあたり約100キロカロリー減らすことができ、脂質も大幅に抑えられる。活動量の多い昼食向き。
皮にゼラチン質が多く含まれ、濃厚なうまみがある。骨の材料になるカルシウムが豊富で、酢を組み合わせると吸収しやすく、酸の力で肉がやわらかくなる。骨を丈夫にするビタミンK、免疫細胞の働きを活性化する亜鉛なども含まれている。
程よい弾力があり、適度な脂肪でうまみもある。手羽先よりたんぱく質が多く、脂質は少ない。コラーゲンの効果を発揮するにはビタミンCが不可欠で一緒にとると吸収率がアップする。代謝をサポートするビタミンB6は水溶性のため、煮込んで汁ごと摂取するのがベター。
店頭に並ぶひき肉は、もも肉またはむね肉をひいたもの。よりカロリーを抑えたい場合は、鶏むね肉と表記されたものを選ぶのがおすすめ。
「それぞれのうまみを生かすと料理のバリエーションが広がり、飽きずにおいしく続けられます。鶏肉はお子さんやシニアでも食べやすいので、ダイエット中だからと自分だけ別の料理を作る手間も不要。
同じメニューを食べるうちに、娘さんのニキビが改善したり、家族の花粉症が治ったなんて声も届いています。ダイエットに悩んできた人こそ、痩せ体質と健康を叶える食事を始めてほしいです」