食事の後は自然と身体が熱くなる。これは体内で栄養素の消化吸収や代謝が行われる際に熱を生み出すためだ。消化器官や内臓が活発に活動することで、エネルギーが消費される。

流行しているからと飛びつくのは危険

 この現象は食事誘発性熱産生といわれ、1日に消費するエネルギーの約10%を占める。産生量を増やすには糖質や脂質よりもたんぱく質の量を増やすのが効果的で、筋肉量が多いほうが有利。

「筋肉を維持するために意識すべきは1日3食に分けてたんぱく質をとること! 一度に代謝できるたんぱく質の量には限界があり、とりすぎると体脂肪として蓄積され、脂質過多にもつながります。1回に食べる量は“手のひらサイズ(片手)”を目安にすればOK。食事時間が6時間以上空くと筋肉の分解が始まるので、おやつにチーズや豆乳を取り入れるのもおすすめです

 松田先生に寄せられるお悩みで最近特に多いのが“糖質制限でメンタルが不安定になった、断食系ダイエットの反動で食欲が暴走した、カロリー制限で髪も肌もパッサパサになった”など、痩せる効果よりも、心身に不調を来たすものだという。

適正体重を目指したり、痩せておしゃれを楽しみたかったり、ダイエットの目的はさまざまだと思いますが、方法を間違えると健康に害を及ぼします。身体の仕組みを理解せず、流行しているからと飛びつくのは危険です

「43歳で出産後、体重が63.4キロまで増量。重度の脂肪肝になりジムやヨガを試しても痩せなくて。この食事法に変えたら体重がストンと減って脂肪肝も治りました!」(60代・田中さん)
「43歳で出産後、体重が63.4キロまで増量。重度の脂肪肝になりジムやヨガを試しても痩せなくて。この食事法に変えたら体重がストンと減って脂肪肝も治りました!」(60代・田中さん)

 3大栄養素(たんぱく質・脂質・糖質)のひとつであり、生きていく上で必要不可欠なエネルギー源になる糖質を減らすダイエットは、リバウンドを招きやすいという。

もともとは糖尿病患者さんの血糖値を管理するための食事法でしたが、糖質を極端にカットすれば痩せると思っている人が多いです。やみくもに糖質を減らすと筋肉が分解されるので、基礎代謝の低下から太りやすさにつながり、低血糖で頭痛、イライラ、思考力の低下を感じることも。糖質制限を急にやめると、身体が飢餓状態から回復しようと糖質を過剰に吸収してリバウンドもしやすくなります

 糖質イコール炭水化物だと思ってお米を控えすぎるのは逆効果。おすすめは雑穀米で、ビタミンや食物繊維などの栄養素を多く含むため、血糖値を上昇させにくい。1回の食事で握りこぶしひとつ分(80~100グラム)が適量の目安になる。

 16時間、何も食べずに空腹状態をつくることで痩せる、アンチエイジング効果が期待できるというダイエット。最大のデメリットは筋肉が落ちることだ。

「たんぱく質は食べだめができないので、空腹が続くとどんどん筋肉が分解されていきます。筋肉が減って基礎代謝が落ちることで痩せにくくなり、たるんで老けて見えることも。一度の食事量が増える分、胃腸に負担がかかりますし、食べていい8時間で必要な栄養素を補わないと代謝や吸収、免疫力も低下します

 摂取カロリーを消費カロリーより抑えるダイエット。外食や惣菜、お弁当を買うとき、総カロリー数の表示を見て、選ぶ人も多いのでは?

そもそも正確にカロリー計算するのは至難の業。カロリーをとりすぎなければ痩せるのは事実ですが、脂肪ではなく筋肉を減らす失敗に陥りがち。低カロリーにしようと肉や魚を避ければ、筋肉はもちろん、同じくたんぱく質を原料とする肌や髪もつくれません

 ダイエットの理想は、筋肉を落とさずに体重を減らして美しく健康になること。それには“たんぱく質とビタミンB群”が最強の組み合わせになる。

筋肉量の維持にはたんぱく質、代謝アップにはビタミンB群が活躍します。3大栄養素の“たんぱく質・糖質・脂質”には身体をつくる、動かすといった役割がありますが、代謝が滞るとカロリーが余って体脂肪に変わってしまいます。そこで頼りになるのがビタミンB群。たんぱく質はビタミンB6、糖質はビタミンB1、脂質はビタミンB2を一緒にとることでそれぞれの代謝がスムーズに進みます