痛みを放置せず積極的に股関節を動かす
股関節痛を放置したままにすると股関節はさらに変形して、その状態で固まってしまうという。
「屈曲拘縮と呼ばれる状態で、股関節周囲の筋肉が固まって伸ばしづらくなり、可動域が狭くなってしまいます。最悪の場合、足が動かせなくなり、ひきずるようになることも。これを改善するには、日頃から股関節のストレッチや筋トレを行って股関節を動かすことが大切です」
では、股関節の筋肉をほぐし、痛みを改善するにはどんな方法が有効なのか。
「爪先を床につけてかかとを小刻みに上下させる“ジグリング”という運動が推奨されています。いわゆる“貧乏ゆすり”ですね。ジグリングは、股関節内で潤滑油のような働きをする滑液の循環を促すため、股関節周囲の筋肉の緊張をほぐし、屈曲拘縮を改善します。さらに滑液は股関節の関節軟骨に栄養を供給する働きもあるので、軟骨減少を防ぐ効果も期待できます。
しかし、一般的な貧乏ゆすり運動では、上下一方向だけの平面的な動きとなり、股関節を支えるすべての筋肉群を鍛えたり、その筋肉を覆っている筋膜をほぐすことはできず、痛みや屈曲拘縮を改善する効果が十分に期待できなかったり、時間がかかることがあります。そこで考案したのが“3Dジグリング”です。
スクワットに近い姿勢で全方向に股関節を動かすので、ストレッチ、筋トレに加え、バランス能力も改善する効果が期待できます」
痛みがあるとどうしても関節を動かさずに、安静にしがちだが、それでは関節周囲の筋肉や筋膜が固まってどんどん症状が悪化するという。症状が進行する前に、ジグリング体操を習慣化して、股関節痛の改善を目指そう。
股関節にやさしい生活ポイント
・重い荷物を持ったり、肩にかけたりして歩くと股関節に大きな負担がかかる。買い物などはキャリーバッグを活用する。
・階段の上り下りは、手すりをつかんで1段ずつ、上るときは痛みのない側を先に出し、下りるときは痛みのある側の足から出す。
イスから立ち上がるときは、ひじかけをつかみ、お尻を座面の前にずらしてから立ち上がる。
・車に乗るときは、車の外に足を出した状態でお尻を座席の端に乗せて、両手で太ももを抱え込むようにして片足ずつ車内に足を入れる。
・床に落ちたものを拾うとき、しゃがんだり立ち上がったりする動作も股関節に痛みが生じやすい。柄の長いマジックハンドがあると便利。
・足の爪切りは、痛みのある側の股関節をなるべく深く曲げないような姿勢で。刃先の向きを変えられる回転式の爪切りも市販されている。











