脂肪肝を防ぐカギは健康的な生活

 では、脂肪肝を防ぐには、どうすればいいのか。

「男女共通してリスクとなるのが“飲酒・食べすぎ・運動不足”の3つです。筑波大学の研究では、お酒を飲む人よりも、肥満で運動をしない人のほうが肝臓病患者に多いことが示されています。同じ体形でも、運動をしている人のほうが脂肪肝になりにくいんです」

 運動といえど、ランニングからウォーキング、筋トレと多岐にわたるが、何をすればいい?

肝臓の脂肪を減らす直接的な効果が高いのは有酸素運動です。ウォーキングまたはジョギングを1日30〜40分程度行うのがおすすめ。時間や余力が残っている人は、さらにスクワットなどの筋力トレーニングを加えると、より効果的です。

 筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、糖質の消費効率も良くなるため、肝臓への負担が軽くなります。全身の筋肉量の6~7割を占める下半身を重点的に」

 食生活では、まず「食べすぎない」ことが大前提。

「糖質をとりすぎると体内で脂肪に変換されてしまうため、ご飯や甘いデザートは控えめにしましょう。魚や大豆製品、乳製品などのタンパク質を中心に、野菜や果物に含まれるビタミン、食物繊維をバランスよく取り入れることが推奨されます

 アルコールについては、ビール中瓶1本、日本酒1合、ワイン2〜3杯が1日の適量。

過度な飲酒は男女共に脂肪肝を進行させるため要注意だ。

「脂肪肝は血液検査で必ず見つかるわけではありません。肝機能の数値に異常がなくても、エコー検査を受けることで初めてわかるケースが多いのです。健診や人間ドックでチェックし、少しでも異常があれば専門医に相談してください。早めに生活習慣を改善することで、肝臓は回復できる力を持っています」

浅部伸一先生●自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院等で勤務。国立がんセンター研究所でウイルスを研究、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所では肝炎免疫研究を行う。現在はアシュラスメディカル株式会社所属。
浅部伸一先生●自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院等で勤務。国立がんセンター研究所でウイルスを研究、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所では肝炎免疫研究を行う。現在はアシュラスメディカル株式会社所属。

教えてくれたのは……浅部伸一先生●自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院等で勤務。国立がんセンター研究所でウイルスを研究、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所では肝炎免疫研究を行う。現在はアシュラスメディカル株式会社所属。


取材・文/佐久間真弓