本音でぶつかる嫁舅コンビ

 やがてまさるさん単独でおつまみの連載がスタート。'11年にはそれをまとめた『まさるのつまみ』を出版。料理研究家としてデビューした。

 キャリアは違うが、一家に料理研究家が2人。私生活では舅と息子の妻の関係。しかもメディアでの共演が多いとなると、ぶつかることも。

 まさるさんがアシスタント専業だったころは、お互い味についてはノータッチだったが、互いに料理研究家になると、プロとして気になるのだろう。まさるさんが試作したものに、まさみさんが軽く意見を言ったことがあった。

「これだけ練り物があると塩分が強いから、しょっぱくないほうがいいんじゃない?」

 内心ムッとしたのか、それまでまさみさんの料理にコメントをしなかったまさるさんも、彼女の試作料理などに注文をつけるようになった。

 テレビ番組でぶつかることもある。原因はほぼ同じ。まさるさんが台本を覚えるのが苦手なことだ。まさるさんによれば、台本のセリフのことが気になって、緊張で手が震えるという。

 例えば、『マツコの知らない世界』の収録のとき、こんなことがあった。楽屋に入って出番を待っていると、まさみさんが言った。「一回練習してみたら」と。やってみると、言おうと思っていたことが思い出せない。まさみさんに、「今になって、そんなこと言ってる」と言われてカチンときた。

「俺だってな。……あー、俺やめた」

「やめたってどうするの?」

「きょうはおまえ1人でやれ」

 いったんは怒りを収めて出演したまさるさんだったが、リベンジに出た。

「本番中に、楽屋でのケンカのことバラしてやった。そしたらマツコさん、大笑いしていたよ。“やめられたら大変だからさ”とか言って」

 同情を誘うそぶりで逆襲することもある。NHK『あさイチ』に出演する朝のことだ。出かける前にケンカをすると、まさるさんは血圧を測り、これ見よがしにまさみさんに数値を見せた。

「“ほら、こんなに血圧が上がっている”と、もう行けないと言わんばかりなんです。普段はそうじゃないのに、時に急に年寄りぶったことを言い出すことがありますね。そういうことはしょっちゅう」