目次
Page 1
ー ファンを夢中にさせた笹野みちるのルックス
Page 2
ー 母に押しつけられる「矛盾」に葛藤
Page 3
ー ロックに目覚め、中学でバンド結成
Page 4
ー 同性への気持ちは「深くつながっている感覚」
Page 5
ー 疎遠だった元メンバーが余命宣告を
Page 6
ー 初の正社員生活を介護施設でスタート
Page 7
ー 父の訃報も知らせてくれなかった母と─

「今日はせっかくなので、東京少年のころに雰囲気を寄せてみました」

 笹野みちるは現れて開口一番、屈託ない笑顔で中折れ帽を指さして話した。そこには
'80年代の音楽シーンを駆け抜けた「東京少年」のボーカリストの面影そのままで、懐かしさが込み上げる。

ファンを夢中にさせた笹野みちるのルックス

1988年、東京少年でデビュー直後の笹野(撮影/坂本正郁)
1988年、東京少年でデビュー直後の笹野(撮影/坂本正郁)

 笹野のルックスは、当時のファンを夢中にさせたファクターのひとつでもあった。

「えー!? いやいや(笑)。いろんな有名カメラマンさんに撮っていただきましたが、篠山紀信さんはどうにか私を脱がそうみたいな感じがありありでしたね(笑)」

 と、苦笑いする。

 当時、新進気鋭だった映画監督の岩井俊二がすべてのプロモーションビデオを撮影したが、彼の得意とする少女性を押し出すコンセプトに対しても、これは自分ではないという気持ちを抱いていた。

 バンドメンバーにはそれらがどう映っていたのか。

「私のためにオーディションで集められたメンバーなので、私とはすごくドライな関係でしたね。『俺たちは笹野のバックバンドだから』というスタンスで、私だけがクローズアップされることに無関心でした」

 意外な答えを返した笹野に生い立ちから改めて聞くと、さらに深い話が繰り広げられ、圧倒された─。