夫が亡くなるまでの間、会社経営と子育て、入院中の夫の介護を続けた。それでも、

人に騙されたことは結果としていい勉強になったし、毎日、大変ではあったけれど苦にはならなかった

 と話す。

『おいしかった』ってお帰りいただく瞬間がいちばんの幸せ

主人は美食家で、読書家の人でした。背は高いしお話も上手。趣味はゴルフで、カッコいい男だったの。私にとって最高の主人でした。閉店まで必ずお店の隅に座って、最後までお客様に丁寧に挨拶する人だった。そんな主人が作った手間暇かけて作ったロールキャベツは、“愛”が詰まっていたんです

復活させたロールキャベツ2200円(単品)。野菜と肉のうまみがトマトソースに凝縮 撮影/斎藤周造
復活させたロールキャベツ2200円(単品)。野菜と肉のうまみがトマトソースに凝縮 撮影/斎藤周造
【写真】絶対美味い! ふくさんとミヨさんのお店の看板メニュー

 そう話しながら、人にも料理にも愛あふれる夫との思い出話に、目を細める。今でも乙女心は“現役”だ。

 元気でいるために心がけているのは、ひきこもりにならないこと。多少腰が痛くても、早朝から外に出て1日トータル5千歩歩くのが日課。

ただ散歩するのはつまらないから、ゴミ拾いをしながら歩いているの。燃やすゴミの日の前日には可燃物、燃えないゴミの日の前日には不燃物を拾ってね。地域の人と一緒に、区のゴミ拾いボランティアにも参加しています

 手先が器用で、趣味は刺しゅう。自宅で細かい作業に没頭しながら手と頭を動かすことで、認知機能は衰えを知らない。お店の手伝いや散歩で適度に身体を動かしたあとは、晩酌を楽しむことも多い。

赤ワインも焼酎も、アルコールは何でも好きなの。今朝は家を出る前に、砂肝のアヒージョを仕込んできました。帰ったらワインとアヒージョで一杯飲んで寝ます(笑)

 ロールキャベツは評判を呼び、湯せんで簡単に食べられる冷凍食品も販売。真心こもった伝統の味を、家庭でも味わえると通販でも人気だ。

主人が作った味を、たくさんの方に味わっていただきたい。その思いだけでここまでやってこられた。お客様に『おいしかった』ってお帰りいただく瞬間が、いちばんの幸せです。これからもお店の味を受け継いで、お客様に喜んでいただきたい。そのためにも、元気で働かなくちゃ

 1948年創業。手作りにこだわった洋食が味わえる、アンティークの調度品に囲まれた老舗レストラン。人気のため、ディナータイムは予約がおすすめ。ミヨさんの出勤日はインスタでチェックを。

取材・文/釼持陽子